2012 Fiscal Year Annual Research Report
磁気異方性を利用した単結晶微粒子からバルク単結晶の創成
Project/Area Number |
23656479
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 秀幸 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60239762)
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Keywords | 磁場配向 / 磁気科学 |
Research Abstract |
材料特性の発現には単結晶が必須あるいは望ましい機能性化合物は多いが、単結晶の育成が困難な化合物も少なくない。しかし、包析反応などにより形成する化合物の単結晶を従来の溶融プロセスにより作製することは困難である。そのため、溶液法など限られた手法により単結晶の育成が行われてきた。 本研究では、従来の結晶育成とはまったく違ったプロセス概念である、結晶の磁気異方性を利用して単一グレイン微粒子からバルク単結晶を作製するプロセスの開発を目指した研究を行った。 この研究では、単結晶育成が困難な斜方晶FeSi2化合物を対象にし、(1)配向度を向上させるための異方静磁場の最適化、流体による配向粒子保持手法の開発、(2)3軸が配向した仮焼結体(微粒が堆積したグリーン)の作製、(3)配向度を低下させないまま焼結を実施する手法の開発、(4)得られたバルク結晶の配向度などの評価を行った。以下に成果を記す。 (1)3軸配向度と首振り磁場の関係を理論的に解析し、磁気異方性の大きさにより磁場条件を変化させる指針を得た。この指針をもとに配向実験を行い、配向度と首振り磁場の関係が理論的に予測できることを明らかにした。(2)粒子を保持する流体の粘度などに堆積物の配向度が依存することも明らかにできた。(3)上記のグリーンを用いて、焼結るつぼの形状などを工夫することにより、3軸が配向したバルク体の作製が可能になった。(4)バルク体の配向度をX線により評価し、5度程度のバラツキがある3軸配向の結晶(「単結晶」)であることを確認できた。3軸配向バルク体の作製プロセスの原理を確立できたと考える。
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