2011 Fiscal Year Research-status Report
巨大ベシクル固定化プローブによるソフト界面の表面力測定と分子モデリング
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23656489
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新戸 浩幸 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80324656)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 巨大ベシクル / ソフト界面 / 表面間力 / 付着・脱着 / 機能性プローブ / 原子間力顕微鏡 / 共焦点レーザー走査顕微鏡 / 分子モデリング |
Research Abstract |
生細胞の人工材料への接着現象は、複数の物理化学的な相互作用力と細胞生物学的な諸因子が関与する極めて複雑な現象であるが、これを理解することは、医療を支えるバイオマテリアルの表面設計、薬物送達システムの要であるキャリアー粒子の表面設計など、多くの分野において極めて重要である。しかし、実際の生体関連材料の開発研究は、基礎的な理解がなされないまま進められることが多く、この現状から脱却しなければ、今後の生体関連材料開発の飛躍的な発展は期待できない。そこで本研究では、擬似細胞の一つである巨大ベシクルに注目し、巨大ベシクルがつくる「ソフト界面」の表面力について、新しい計測手法と分子モデリングによる特性解析を行い、ソフト界面が関与する不思議で複雑な現象・物性を分子レベルで解明することを目指す。 「ソフト界面」の表面力を対象として、原子間力顕微鏡(AFM)に基づく新しい計測手法を開発するため、まず、AFM カンチレバーの先端に巨大ベシクルを固定化した「巨大ベシクル固定化プローブ」を精度良く作製可能な技術の確立を目指した。巨大ベシクルの調製方法として、静置水和法、Electroformation法、急速蒸発法などを試したが、10μm以上の安定な巨大ベシクルを短時間で簡便に数多く得るには、急速蒸発法が最も適していた。次に、この巨大ベシクル1個をAFMカンチレバーの先端に固定化するために、カンチレバー表面を機能化する必要がある。いろいろと試した結果、当初考えていた手法よりも、簡便で安価な手法を見出した。これを用いて、巨大ベシクル-固体基板間の相互作用力の直接AFM測定を行った。 この実験的検討と並行して、大規模な計算機シミュレーションを実行するため、報告者らがこれまで開発してきた分子モデル・手法を改良した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「巨大ベシクル固定化プローブ」の効率的な作製技術の検討に多くの時間を費やしてしまったため、「ソフト界面」の表面力の測定が十分に行えなかった。しかし、効率的な効率的な作製技術を確立させつつあるため、この技術をさらに熟成させれば、今後の研究は比較的スムーズに進むと考えている
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Strategy for Future Research Activity |
今回考案した機能化AFMプローブでは、巨大ベシクルの固定化の成功率があまり高くなかったため(約60%)、機能化に用いた表面修飾剤の至適な表面修飾密度などを見出すことなどが今後の緊急の課題となる。 当該現象の計算機シミュレーションについて、当初は分子モデリングを予定していたが、予想以上に計算コストを要するかも知れない。そのため、計算負荷の軽いメソスケールのモデリングも並行して進めている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費により、本研究の遂行に必要な備品を導入することが出来た。次年度の研究費は、光学部品、薬品、カンチレバーなど消耗品の購入に使用する予定で或る。
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Research Products
(9 results)