2012 Fiscal Year Research-status Report
多段フローリアクタによる粒子成長制御に基づくコアシェル粒子連続合成法の開発
Project/Area Number |
23656490
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮原 稔 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60200200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 哲 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80402957)
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Keywords | マイクロリアクター / 流通式 / 金ナノクラスター / 金ナノシェル / 不均一核生成 / プラズモン |
Research Abstract |
Silica@Auコアシェル複合ナノ粒子は近赤外領域に渡る幅広いプラズモン吸収特性を持ち,医療分野等への応用が期待されている。しかし,既報のバッチ式製造プロセスでは製造に8日間を要し7つの工程を経る必要があるなど,簡便な合成手法の開発が待たれている。この現状を踏まえた本研究の目的は,フロー式マイクロリアクターを用いたコアシェル粒子連続合成プロセスの構築である。マイクロリアクターの高い混合性能が滑らかなシェル形成を促し,かつ連続プロセスとすることで任意の粒径/シェル比のコアシェル粒子を合成するのが最終的な狙いである。SiO2@Auは,コアであるシリカ粒子を,高分子で修飾したのち,金ナノ粒子で被覆し,その金粒子を成長させることで形成する。本年度は,コアシリカ粒子の濃度が金ナノ粒子被覆過程に与える影響を検討した。さらにSiO2@Au粒子の合成過程で,還元剤が粒子の安定性に与える影響を検討した。 1)コアシリカ粒子濃度の影響 金イオンとシリカ比を固定し,コアシリカ濃度を変化させて金ナノ粒子被覆を行った。シリカ粒子濃度が大きくなるほど,金ナノ粒子の粒径は小さくなり,粒度分布も狭くなった。これは,コア粒子の数が増えることで,金イオンの拡散距離が小さくなり,シリカ表面での核生成反応がより均一に進行したためであると考えられる。すなわち,マイクロリアクターで合成する場合,多くの界面を提供したほうが,高い混合性能を活かせることが明らかとなった。 2)SiO2@Au粒子の安定性 昨年度の検討で,アスコルビン酸で還元することによりSiO2@Auの合成に成功した。ところが,その安定性を調べたところ,2日程度で,シェルが剥離することが分かった。そこで,安定性を増すべく,還元時にアスコルビン酸だけでなく,クエン酸を混合して反応させたところ,安定性が著しく増加し,10日以上安定に存在することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロリアクターの特性を活かす反応条件を特定し,さらに得られる金ナノシェル粒子の安定性を大幅に高めるなど,目的とする反応プロセスの構築に向けて,大きく進捗が見られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
コア粒子からシェル形成までを1連の流通システムで合成するプロセス構築検討を行う。実験の概略は次の通りである。1段目で,テトラエトキシシラン(TEOS)の加水分解によるシリカ粒子の合成を行う。得られた反応液を2段目で,金イオンと混合させる。この段階は,反応ではなく混合だけなのでT字型のミキサーで充分混合できると考えられる。そして,このシリカ粒子+金イオン混合液を,3段目で還元剤と反応させ,シリカシェル形成反応を進行させる。コア粒子合成から連続したプロセスで,金シェル形成が昨年度系とどの程度類似か/異なるかを見極めつつ,金シェル形成反応の滞留時間は固定した上で,特にシリカ粒子合 成の滞留時間の影響を検討する。滞留時間とコアサイズとの関係を明らかにするのが主目的となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)