2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656492
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大村 直人 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50223954)
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Keywords | 化学工学 / 流体 / 混合 / 異常輸送 / プロセス強化 / 変動操作 / 撹拌操作 / 非線形動力学 |
Research Abstract |
異常輸送に及ぼす摂動の効果について、空間的摂動についてはテイラー渦流装置を用い、時間的摂動についてはタービン翼を用いて検討を行った。 まず空間的な摂動として内円筒にリング状のリブを設置して、物質輸送がどのように変化するかを調べた。リブの設置により、流体密度に比べ密度が非常に小さく浮力の影響を受ける気泡流においても、渦が安定化し、さらに、リブが障壁となることで、異常輸送が抑制されることが明らかになった。温度による空間摂動では、下部を加熱し、上部を冷却して軸方向に温度を変化させた場合、流体の浮力の効果で、渦運動が不安定化し、異常輸送が大きく促進されることを見出した。一方、上部を加熱し、下部を冷却した場合は渦構造が安定化することで、異常輸送が抑制されることがわかった。 つぎに、撹拌槽の混合において、タービン翼の羽根枚数を変化させることおよび、槽内の温度を時間的に変化させることで、異常輸送における時間的な摂動効果を調べた。タービン翼の枚数により摂動の周期を変化させたところ、異常輸送量よりもドーナツ状の孤立混合領域の構造に違いが現れた。また、槽内の温度を時間的に上昇させると、ドーナツ状の孤立混合領域も不安定化し、異常輸送が大幅に促進することを見出し、この場合、タービン翼の枚数により摂動周期が変化することで、異常輸送の促進効果に違いが現れることも見出した。 さらに、撹拌翼の軸を傾斜させることで、ドーナツ状の孤立混合領域の循環渦構造の対称性を破ることで、異常輸送を促進し、迅速に混合が行えることも見出した。 これらの研究成果により、異常輸送の促進には、循環流の時空間的対称性を以下に破るかが重要であることがわかり、この知見を基に、新規な撹拌翼の設計・製作を行った。また、中空糸膜を用いた膜分離において、循環渦の非定常性を付与することで、ファウリングを抑制し、透過性能と阻止率の高い膜分離装置を提案した。
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Research Products
(18 results)