2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656497
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
塩井 章久 同志社大学, 理工学部, 教授 (00154162)
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Keywords | 自律運動 / 非線形科学 / 不安定性 / 分子集合体 / 触媒粒子運動 |
Research Abstract |
化学反応による能動輸送などの生物型移動現象過程が人工系で実現可能であることを示し,高い非平衡性を利用した生物的な移動現象過程の工学的応用に道を開くことを目的としている。計画では,(A)ベシクルを溶液中の化学反応で一次元的に運動させること,(B)白金粒子を過酸化水素の分解反応によってベクトル的に運動させること,を目的とした。 前年度は,塩化ジドデシルジメチルアンモニウム(DDAB)とオレイン酸を混合させたベシクルが,ヨウ化物イオンの存在下で,DDABを反応で消費しながら並進運動を行うことを確認した。最終年度はこの系にCaとMgイオンを加えることで、並進運動の再現性が向上することを見出した。同じ2価カチオンでもSrやBaでは大きな影響は見られなかった。共焦点顕微鏡による観察から、ベシクル内部の複雑な構造変化が運動の推進力を生み出していることが示唆された。この結果は,化学反応で内部構造の変動を起こし運動するベシクルが実現していることを示しており、アメーバ運動などの生物型の移動に似ている面がある。 白金運動については,前年度は、過酸化水素濃度勾配の作成を行い粒子の運動を観測し,非定常濃度勾配下で運動に指向性が見出される可能性が見られることを示した。さらに、前年度は均一濃度での白金粒子凝集体の運動の特徴を検討したが、最終年度は、凝集体形状を数学的に解析し、形状と運動特性の間にある定量的関係を見出すことに成功した。 また生物型移動現象を実現するための一つの要素である,環境のイオンに応答した運動を示す界面のデザインについて、界面流動が生み出す力学的仕事がさらなる不安定性発生のエネルギーになっていることを示すことができた。
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Research Products
(9 results)