2012 Fiscal Year Annual Research Report
化学的エネルギーの直接変換により運動するマイクロ/ナノマシンの構築
Project/Area Number |
23656501
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 博章 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20282337)
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Keywords | ナノロボット / 白金 / 亜鉛 / 電気浸透流 / 混成電位 / 大腸菌 |
Research Abstract |
本研究では、金属接合体表面で進行する不均一な酸化還元反応に着目し、その局所的イオン濃度勾配(電位勾配)形成によって生じる電気浸透流を運動エネルギーとして取り出すマイクロモータの作製を試みた。 マイクロモータは、ポリスチレンビーズ上に、スパッタリングと真空蒸着により、亜鉛層と白金層を半面ずつ形成することにより作製した。これを燃料物質を含む水溶液中に分散させると、亜鉛の酸化溶出に伴い、白金表面上で燃料物質の還元反応が進行する。その結果、亜鉛-白金極間にプロトンの濃度勾配が形成され、亜鉛側から白金側へ向かう電気浸透流が生じ、その反作用として、マイクロモータは亜鉛側に進行する。 本研究では、臭素、p-ベンゾキノン、メタノールに注目した。これらの燃料物質を用いた場合、ブラウン運動とは明らかに異なる自律的運動が観察された。p-ベンゾキノンとメタノールを用いた場合には、臭素を用いた場合よりも運動速度は小さかった。運動速度の大小は、混成電位とそこで2つの金属間に流れる電流値に関係する。マイクロモータがどちらの面を先頭として運動しているかを確認するために、亜鉛層下にニッケル層を有するZn/Ni/Ptマイクロモータ(直径5 μm)を用い、磁力による姿勢制御を行った。その結果、磁石除去後も同じ方向に運動していることから、モータは亜鉛側を先頭として運動していることが確認された。本研究では、直径1 μmのモータを作製することにも成功し、同様に臭素、p-ベンゾキノン、メタノール中で運動することが確認された。 さらに、白金表面を疎水性にし、マイクロロボットを大腸菌懸濁液中で分散させ、ここに燃料となるメタノールを加えると、疎水性相互作用によりマイクロロボットが大腸菌を捕捉・運搬するのが確認された。
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