2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656508
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山中 一郎 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (90240051)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ノンホスゲン法 / 炭酸ジフェニル / 電解カルボニル化 / パラジウム触媒 / グリーンケミストリー / 電極触媒 / 電解合成 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
予備的実験により,PdCl2/AC アノードとフェノール/ナトリウムフェノキシド/アセトニトリル電解液を用いることにより,電解カルボニル化活性(電解電流;1 mA),選択性(電流効率;50%)ともに低いものの, DPCの直接合成が室温で進行することを見出した.PdCl2/AC アノードの電解触媒作用を明らかにするため,透過型電子顕微鏡および粉末X線回折装置を用いてアノードのキャラクタリゼーションを行った.その結果,Pdナノ粒子が重要な作用をしていることが分かった.各種ボルタモメトリーを用いて電子移動過程の解析を試みたが,本年度は成功しなかった. ナトリウムフェノキシドの作用機構を解明するために,アルカリ水酸化物,アミン誘導体などの塩基性支持電解質やカルボン酸や硫酸などの酸性支持電解質などを用いてカルボニル化反応を実施した結果,カルボニル化反応が進行する際に放出されるプロトンを受容可能な塩が存在するとDPCが生成することを見出した.また異性体を用いた実験から,ナトリウムフェノキシドは DPC中に混入しないことが分かった.これらの事実から,ナトリウムフェノキシドは支持電解質として機能するばかりでなくカルボニル化反応の反応促進剤としても機能していた. フェノールの電解カルボニル化による DPC生成反応について速度的解析を行った結果,一酸化炭素へのフェノールへの求核攻撃が律速であり,ナトリウムフェノキシドはカルボニル化反応が進行する際に放出されるプロトンのアクセプターとして機能し,触媒的に作用していることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PdCl2/AC アノードとフェノール/ナトリウムフェノキシド/アセトニトリル電解液を用いることにより,電解カルボニル化反応が進行し, DPCの直接合成が室温で進行することを見出した.アノードのキャラクタリゼーションを行った結果,Pdナノ粒子が重要な作用をしていることが分かった.ナトリウムフェノキシドは支持電解質として機能するばかりでなくカルボニル化反応の反応促進剤としても機能していることを解明した. 以上の結果は,23年度の研究目標をほぼ達成しており,24年度研究計画に結びつくと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
23年度研究において,Pdナノ粒子が重要な作用をしていることを見出している.この成果を踏まえて高活性Pdアノードを開発する.そこで,様々な粒子径を有するPd ナノ粒子を各種炭素担体上に固定化し,Pd/Carbon電極触媒のPdナノ粒子の粒子径適切化,Pd担持量―担持密度適切化,および炭素担体比表面積,表面官能基密度の適切化を行う.さらに,23年度結果を踏まえ,最適な支持電解質の選択と反応条件の適切化を行う.以上のような検討により,DPC生成活性を最低でも10倍,期待値としては100倍に促進させる. 以上の結果を踏まえ,新規ノン・ホスゲンDPC合成法の工業的応用に向けた研究開発の方向性,および優位性や課題などを明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は様々な粒子径を有するPd ナノ粒子を各種炭素担体上に固定化し,Pd/Carbon電極触媒のPdナノ粒子の粒子径適切化,Pd担持量―担持密度適切化,および炭素担体比表面積,表面官能基密度の適切化を行う.このためには各種Pd化合物,炭素材料,調製用溶媒,調製用硝子器具が必要であり,また電解カルボニル化を実施するためには,電解セル,フェノール,一酸化炭素,溶媒などの消耗品が必要である.研究経費はこれら消耗品に当てる.
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