2012 Fiscal Year Annual Research Report
固体表面と金属錯体のシナジーを活かした高度触媒機能の創発
Project/Area Number |
23656510
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 健司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10243049)
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Keywords | グリーンケミストリー / イリジウム / 酸化セリウム / 格子欠陥 / チタン / シルセスキオキサン / シリカ / エポキシ化 |
Research Abstract |
より環境負荷やエネルギー消費の小さな有機合成プロセス開発の鍵となる環境対応型の新触媒の開発は、重要な課題である。特に金属錯体と固体担体との機能の相乗効果によって、想定外の触媒機能の創発が期待できる。そこで本研究では、表面と金属錯体のシナジーを活かすことによる特異的触媒機能の創発メカニズムを系統的に検討し、活性・選択性の支配因子を解明することで、従来とは異なる触媒活性・選択性を有する新しいタイプの環境対応型固体触媒開発の一般的方法論の確立を目指す。 今年度は、前年度に開発した第一級アミンと1,4-ブタンジオール等のジオール類間の反応による直鎖アミノアルコール合成反応に有効な担持Ir触媒について、触媒の担体効果を詳細に検討し、前処理段階でのIr種の変化と高触媒性能の発現機構を検討した。Ir触媒の担体としては、CeO2に加えてFe2O3および希土類―鉄複合酸化物が有効であった。H2-TPR,およびXRD測定の結果から、本反応に有効なこれらの触媒の共通点として、Ir種に加えて触媒担体の還元が比較的低温で進行し, かつ担体の結晶構造が還元処理によって変化しないことが重要であることが判明した。これより、前処理段階で触媒担体表面に酸素欠陥が構築され、これが基質のジオールの片方の水酸基を効率的に捕捉することで、モノアミノ化が選択的に進行すると推察された。 また、フェニレンジアミン類と第一級アミンからの脱水素型のベンズイミダゾール類合成に有効なIr触媒の候補を見出した。 さらに、前年度に開発したtBuOOHを酸化剤とするシクロオクテンエポキシ化反応に有効な均一系触媒触媒として機能するチタン含有シルセスキオキサンとシリカを複合化した触媒について、触媒調製条件および反応条件を最適化した。その結果、1600 h-1以上の高い触媒回転頻度を示す触媒を開発した。
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