2011 Fiscal Year Research-status Report
効率的水素供給・貯蔵プロセスを目指した稀少金属を代替する新規銅ナノ粒子触媒の開発
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23656512
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
満留 敬人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00437360)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 銅 / 有機ハイドライド / 水素 |
Research Abstract |
水素エネルギーは利用後に水のみ副生し、二酸化炭素を排出しないことから化石燃料に代わる次世代型エネルギー源として期待されている。今後、水素エネルギーの大規模利用の実現に向け、安全に水素を保管・運搬する手段として有機ハイドライドシステムが注目されている。現行の有機ハイドライドシステムは、環状炭化水素化合物の水素化・脱水素反応を白金などの稀少金属触媒を用いて水素の貯蔵・放出を行うものであるが、これらの高価な触媒を用いても脱水素反応には300度以上の高温が必要であることが問題となっている。よって、より低温で効率的に脱水素反応を進行させる安価な新規触媒系の開発が求められている。 本研究では、安価な銅ナノ粒子を塩基性金属酸化物であるハイドロタルサイト(HT)に固定化した触媒Cu/HTが含窒素芳香族化合物の脱水素反応を150度以下の極めて穏和な条件下で進行させ、また、その逆反応である水素化反応も進行させることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者はこれまでに高効率なアルコールの脱水素反応を実現する固体銅ナノ粒子触媒を開発に成功している。この触媒系では、担体と銅ナノ粒子が協奏的にアルコールを活性化するため、気相で行われていた反応をはるかに低温の液相条件で進行させることができる。これらの知見から、担体と銅ナノ粒子の協奏効果により有機ハイドライドの活性化を行うことで、従来の稀少金属触媒を用いた高効率有機ハイドライドシステムを代替し、より低温で機能する銅触媒系を開発できるのではないかという着想に至っている。現在、その予想通りに銅ナノ粒子が有機ハイドライドを活性させることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した有機ハイドライドシステムを種々の有機ハイドライドへ適用し、より低温で反応が進行する有機ハイドライドプロセスを構築する。具体的には、種々の含窒素芳香族化合物を用いて、脱水素・水素化反応を行い、100度以下における水素の貯蔵・供給が可能であることを実証する。また、XAFS測定や高分解能透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、得られた固定化銅ナノ粒子の構造解析を行う。これらの構造解析から得られた知見を基に、触媒活性、ナノ粒子の調製条件と粒子サイズや形状との関連性を明らかにし、その特性をさらなる高機能な銅ナノ粒子の設計へと適時フィードバックさせる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記目的を達成するために、材料・消耗品費(主に含窒素芳香族化合物を購入するための試薬費)が必要である。また、触媒反応の検討を迅速に行うためにオートクレーブを購入する予定である。
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