2011 Fiscal Year Research-status Report
高機能性カーボンナノファイバー担体を用いた合金ナノ粒子の調製
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23656515
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹中 壮 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10302936)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | カーボンナノファイバー / 貴金属ナノ粒子 / 合金ナノ粒子 / シンタリング耐性 |
Research Abstract |
カーボンナノファイバーは,その構造に由来する特異な物理的・化学的特性を有するため,触媒への応用が検討されている.しかしカーボンナノファイバーの表面はグラフェンから構成されるため,化学的に不活性であり,それらの表面に金属ナノ粒子を担持することは難しい.また金属ナノ粒子をカーボンナノファイバー上に担持できたとしても,触媒反応条件下で容易に凝集する.そこでカーボンナノファイバーに金属ナノ粒子を担持し,さらにその金属ナノ粒子のシンタリングを抑制する技術が求められる. 本研究ではカーボンナノファイバー上に貴金属ナノ粒子を担持することを目的に,カーボンナノファイバーに各種処理を施し,カーボンナノファイバーの物理的・化学的修飾を試みた.その結果,カーボンナノファイバーを塩酸水溶液で処理してもカーボンナノファイバーの物理的・化学的特性は変化しないものの,硝酸水溶液で処理するとカーボンナノファーバー上に官能基が導入され,またこの処理を長時間行うことでカーボンナノファイバー上に直径3ナノメートル程度の細孔が生成することがわかった.そこで官能基化されたカーボンナノファイバーおよび細孔構造が導入されたカーボンナノファイバー上にPtを担持したところ,両カーボンナノファイバー上に直径2ナノメートル程度のPt粒子が担持されることが分かった.さらにこれらPt粒子のシンタリング耐性を明らかにするために両Pt触媒を高温で処理したところ,官能基化されたカーボンナノファイバー上のPt粒子は激しく凝集したのに対して,細孔構造が導入されたカーボンナノファイバー上のPt粒子は優れたシンタリング耐性を示した.Pt粒子のシンタリング抑制には,カーボンナノファイバーの官能基化だけでは不十分で,カーボンナノファイバーへの細孔構造導入が必要であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究ではカーボンナノファイバーを触媒化学に応用することを目的に,カーボンナノファイバー上に貴金属ナノ粒子を担持する技術,および貴金属ナノ粒子のシンタリング抑制技術を開発すると共に,これらの技術を利用してカーボンナノファイバー上に貴金属系合金ナノ粒子の担持を試みる.本年度はカーボンナノファイバーに各種処理を施し,その際のカーボンナノファイバーの物理的・化学的特性の変化を明らかにした.またこれらカーボンナノファイバー上にPtナノ粒子を担持し,貴金属をナノ粒子化させるための条件,また生成した貴金属ナノ粒子のシンタリング耐性を改善する方法を明らかにした.ここで得られた知見は,次年度の研究を遂行する上で極めて重要な知見である.したがって研究は計画通り進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に行った研究により,カーボンナノファイバー上に貴金属ナノ粒子を担持させるためのカーボンナノファイバーの処理方法,また貴金属ナノ粒子をシンタリングさせないためのカーボンナノファイバーの処理方法が明らかになった.本研究では,カーボンナノファイバー上に貴金属系合金ナノ粒子を担持することを研究目的にしている.そこで初年度の研究で最適化したカーボンナノファイバーを担体に用いて,Pt-Co合金ナノ粒子の調製を試みる.またPt-Co合金ナノ粒子は固体高分子形燃料電池用カソード触媒に利用されているので,本研究で調製したカーボンナノファイバー担持Pt-Co合金ナノ粒子を固体高分子形燃料電池用カソード触媒に応用し,この触媒の触媒活性,耐久性を明らかにする.またここで得られた知見を基に,高活性なカーボンナノファイバー担持Pt系合金ナノ粒子触媒を調製するための触媒設計指針を得る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度はカーボンナノファイバー担持Pt系合金ナノ粒子を調製すると共に,得られた触媒の電極活性を評価する.そこで次年度の研究費は,カーボンナノファイバー担持Pt系合金ナノ粒子を調製するための試薬一式(Pt,Co用試薬など),器具一式(ビーカー,攪拌台,水槽など)に加え,電極活性を評価するための装置(作用電極,参照極,対極,電解質など)を購入する予定である.
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Research Products
(2 results)