2011 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子発現制御によるブロック共重合ポリエステル微生物合成への挑戦
Project/Area Number |
23656521
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
福居 俊昭 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (80271542)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 微生物 / 生分解性プラスチック / ポリヒドロキシアルカン酸 / 発現制御 |
Research Abstract |
微生物が蓄積するポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は環境低負荷型バイオプラスチックとして期待されているが、実用化のためには物性改善が必要である。複数モノマーがそれぞれ長い連鎖となったブロック共重合体はホモポリマーやランダム共重合体とは異なる高次構造や力学的性質を示すことが知られている。そこで本研究では合成生物学的手法を用いたPHA生合成遺伝子の高度発現制御によって、従来にないPHAブロック共重合体の微生物合成を目指す。 周期振動発現によりブロック共重合体を生合成するシステムの構築のため、まず宿主としてEscherichia coliを用いたモノマー供給経路の確立について検討した。Ralstonia eutropha由来のPHA重合酵素遺伝子phaCおよび(R)-3-ヒドロキシブチリル-CoA(3HB-CoA)の供給酵素遺伝子であるphaABの共発現によるポリ(3-ヒドロキシブタン酸)生合成は確立済みである。次に、第二モノマーとして3-ヒドロキシプロピオニル-CoAを生成するChroloflexus aurantiacus由来mcrおよびacsをphaCと共発現させることによるポリ(3-ヒドロキシプロピオン酸)[P(3HP)]生合成について検討した。アラビノースで誘導可能なBADプロモーター下流にmcrとacsをそれぞれ配置したベクターを構築し、phaC 発現ベクターとともにE. coliに導入したが、P(3HP)の蓄積は見られなかった。Mcrの基質となるマロニル-CoA供給強化のため、Corynebacterium glutamicum由来accの発現ベクターをさらに導入することで少量のP(3HP)の生合成を確認したが、効率的生合成には到らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第二モノマーである3HP-CoA供給経路の確立に遅れが生じている。E. coliとは系統的に離れた緑色非硫黄細菌であるC. aurantiacus由来遺伝子がE. coliでは発現しにくい可能性や、E. coliではマロニル-CoAの細胞内濃度が低いなどの理由が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
E. coliにおけるC. aurantiacus由来遺伝子の発現レベルの確認と発現ベクターの見直しによる発現効率改善や、マロニル-CoAを消費する脂肪酸生合成経路の変異株を宿主とするなどにより、3HP-CoA供給経路の確立を急ぐ。また3HP以外の第二モノマーとして脂肪酸β-酸化や脂肪酸生合成経路のバイパスによる中長鎖3-ヒドロキシアルカン酸にも着目し、発現制御によるブロック共重合体生合成を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度研究費約1,600千円の使用計画として、遺伝子組換え実験および培養実験における物品費に1,000千円、国際会議参加を含む旅費に300千円、その他として主に機器の修理費に300千円を使用する。大腸菌におけるモノマー供給経路の確立に当初の見込みより遅れが生じたため、研究費の一部を平成24年度に繰り越す。なお、執行済みの研究補助員雇用経費は会計締切の都合上、繰越として計上した。
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