2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656524
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 卓男 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 教授 (10231276)
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Keywords | ES細胞 / 多能性幹細胞 / iPS細胞 / 初期化 |
Research Abstract |
安全で効率のよい人工多能性幹(iPS)細胞の誘導法を開発しようと、世界中の研究者が、を削っているが、そのほとんどが、体細胞に導入する遺伝子の種類や数、その導入法の改良、あるいは化学物質の利用といった観点からの研究である。本研究では、それらとは違った観点から、胚性幹(ES)細胞を利用して体細胞核由来の多能性幹細胞を作製する新規で安全な方法を開発することを目的としており、そのための検討を行った。すでに樹立されたES細胞を用いることによって体細胞核由来の多能性幹細胞の作製できれば、新たにES細胞を樹立する必要がないため、新たな受精卵の使用をしなくてもすむので、倫理的な問題の少ない方法となる。さらに、樹立される多能性幹細胞のもととなる体細胞の遺伝子に手を加えることもなく、細胞の初期化に関係するような危険な化学薬品も使用しない方法を開発できれば、現在のiPS細胞の持つ危険性を大きく低減できると考えられる。そこで、未受精卵の細胞質が体細胞核を初期化する能力をもつように、ES細胞の持つ初期化能がES細胞の細胞質にもある可能性があることから、ES細胞の細胞質を用いて体細胞由来の核を初期化し、体細胞核由来の多能性幹細胞の作製することが可能ではないかと考え、ES細胞や体細胞から、細胞質体および核体を得る方法等の検討を行った。具体的には、Ficollを用いた 密度勾配遠心法を用いて、細胞の細胞質体や核体の単離を行えば、細胞質成分は低濃度の画分、核は底の画分に多く含まれる傾向があることが確認されたので、さらに濃度勾配のパターンや遠心速度などの分離条件の検討を行った。しかしながら、現時点では、まだまだ分離が不十分で、さらなる検討が必要である。また、再融合に関しては、これまでの知見から電気刺激による方法が有効だと考えられたが、必要な細胞質が十分に分離できていないこともあって実証するには至っていない。
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