2012 Fiscal Year Research-status Report
寄生植物の細胞壁分解酵素を導入した微生物による木質バイオマスの直接イソプレン変換
Project/Area Number |
23656527
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡澤 敦司 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (10294042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 隆司 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (70313781)
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Keywords | 寄生植物 / β-マンノシダーゼ / 細胞壁分解 |
Research Abstract |
<具体的内容> 寄生雑草ヤセウツボの EST 発現解析によって絞り込んだβ-グルコシダーゼ相同遺伝子を大腸菌を用いて異種発現させ,糖に対する基質特異性を調べたところ,当該遺伝子がβ-マンノシダーゼをコードしていることが明らかとなった.さらに,この酵素の細胞内局在を YFP との融合タンパク質のタバコ BY-2 細胞での一過性発現系を用いて解析したところ,この酵素は N 末端のシグナル配列によって細胞壁に輸送されていることを明らかにした.さらに,当該酵素を白色腐朽菌等へ導入するために,エントリークローンを作成した.この際,植物で細胞壁に輸送されるための N 末端の配列をもつものと,これを欠損させたクローンを作成した. <意義> この酵素はヤセウツボの発芽種子で高発現していることから,幼根の伸張あるいは宿主への侵入過程での細胞壁成分の分解に関わることが予測された. <重要性> 木質バイオマスの効率的な変換系を確立するためには,細胞壁成分を効率よく分解,変換する酵素が必須である.本研究によって,宿主の細胞壁を分解する能力を有する寄生雑草ヤセウツボより,細胞壁成分の代謝に関わると予測される酵素の取得に成功した.本酵素は,細胞壁成分であるヘミセルロース中のグルコマンナンなどの加水分解に関わっていることが予想されることから,この酵素の白色腐朽菌等への導入が,その細胞壁分解能の向上に寄与すると期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,寄生雑草ヤセウツボより植物の細胞壁分解に関わると想定される酵素遺伝子の取得,および,その遺伝子にコードされている酵素のキャラクタリゼーションに成功し,さらにこの酵素の細胞内での局在とこの局在のシグナルとなっている N 末端の配列を決定した.この酵素を白色腐朽菌等の細胞壁分解能を有する微生物に導入するための基盤が確立出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに取得した酵素の真の基質を寄生雑草ヤセウツボの細胞壁画分を用いて明らかにする.また,この酵素遺伝子を白色腐朽菌に導入し,これがその細胞壁分解能に与える影響を調べる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
酵素の解析に必要な試薬などに 15 万円,これまでの研究成果の論文の投稿料に 10 万円使用する.
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Research Products
(2 results)