2011 Fiscal Year Research-status Report
細胞内外の微小な温度差に応答する磁性ナノ粒子を用いた早期ガン診断・治療法の開発
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23656528
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
近藤 昭彦 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40205547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 千秋 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00313693)
田中 勉 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90436551)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / ガン治療 / DDS / イメージング |
Research Abstract |
本研究では、ガン細胞内外の温度差に応答する磁性ナノ粒子を用いたガン細胞イメージング、及びガン細胞特異的殺傷技術の開発に向け、本年度は以下の研究を行った。 いくつかの金属ナノ粒子に対し、高分子ポリマーの修飾方法について検討した。その結果、ポリマーを溶解する溶媒、修飾する際の温度処理が重要な因子になることを見出した。また、修飾後のポリマーの除去が課題であることも明らかになった。 上記の検討と並行して、ナノ粒子に対してガン細胞特異的ターゲッティング分子を修飾し、ガン細胞にのみナノ粒子がデリバリーされる技術についても検討した。ガン細胞特異的ターゲッティングには生体分子であるタンパク質を用い、それらの活性を失わなずに粒子に固定化する技術についても検討した。評価を容易にするためにモデル系としてポリスチレンビーズを用い、修飾されるタンパク質として酵素及び蛍光タンパク質を用いた。これらを化学修飾法や酵素修飾法などで粒子表面に修飾し、修飾されたタンパク質の活性を評価した。その結果、化学修飾法に比べて酵素修飾法が優れており、また複数種類のタンパク質を固定化することができることを新たに見出した。しかし、その修飾される量に課題があることも明らかになった。この手法を応用して、ガン細胞に特異的に発現しているレセプターやマーカーなどを特異的に認識できる分子を粒子表面に修飾することができると考えられる。また、上記の粒子の調製と並行して、条件の最適化を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粒子の調製法及び修飾法、ターゲット分子の修飾法についてそれぞれ最適な条件が見出されつつあり、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
粒子及びターゲット分子もモデル系での検討であるため、実際のターゲット分子を粒子に修飾した検討を進める。また、細胞を用いた系での検討も進める。特に、細胞内外の温度差に応答する磁性ナノ粒子を用いたガン細胞特異的殺傷技術、及び毒性薬剤の回収システムの開発に注力して行う。これまでにナノ粒子と薬剤を混合し、ナノ粒子の凝集とともに内包できるかどうか検討する。小分子薬剤のモデルとしてフルオレセインなどの蛍光分子を用い、粒子とともに内包できるか、また細胞内でのリリースについて、顕微鏡での定性評価、蛍光での定量評価の両面から検討する。細胞障害性についても同様に、生細胞、死細胞の染色による定性・定量評価を行う。上記と同様に蛍光分子をモデルとして用い、アポトーシス誘導剤の添加とともに薬剤の回収率について検討し、また、凝集後の粒子を磁石を用いて回収する条件を最適化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子工学試薬や細胞用試薬などの必要経費の他、成果発表や情報収集などに使用する。
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