2011 Fiscal Year Research-status Report
ピコリットル空間でのATP増幅反応と微生物計測への応用
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23656529
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
黒田 章夫 広島大学, 先端物質科学研究科, 教授 (50205241)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ルシフェラーゼ / 迅速計測 / 微生物 / ATP / ATP増幅反応 |
Research Abstract |
本研究では、キャピラリープレート上の多数分割されたピコリットル空間に最大1個体ずつ微生物を分配し、ATP増幅後に発光した空間の数を数えることによって、個体数を迅速に計測することを目指した。平成23年度では、まずはATP増幅しない条件下で、ピコリットル空間において発光検出するにはどの程度のATP濃度が必要なのか検討を行ない、次にATP増幅を用いることで微生物1個体を発光で検出できる可能性について考察した。 キャピラリープレートのピコリットル空間(直径10μm)の中のATPを検出するには、ルシフェラーゼをその空間内に固定化しておく必要がある。そこで、ピコリットル空間に分配できるサイズのビーズ(直径2.8μm)にルシフェラーゼを固定化し、そのビーズがATPにより発光するのを顕微鏡(KEYENCE BZ-9000)で検出を行なった。具体的には、ストレプトアビジンが固定化されている直径2.8μmのビーズに、ビオチン化したルシフェラーゼを混合して、ルシフェラーゼ固定化ビーズを作製した。次にルシフェラーゼ固定化ビーズに対して、4.13mM ATPと5mMルシフェリンを添加し、顕微鏡で一分間露光した画像を取得し補正を行なったところ、ビーズが発光している様子が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATP増幅技術及び高感度ルシフェラーゼを組み合わせれば、ピコリットル空間に分配された微生物1個体を発光で検出することは可能ではあることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸菌1細胞あたりのATP量は2amol(アットモル)と見積もられており、キャピラリープレートの31.4plのピコリットル空間(直径10μm、高さ400μm)の中で破砕されてATPが均一に拡散した場合、理論上のATP濃度は63.7nMとなる。今回の実験で発光検出には4.13mM (4130000nM)のATP濃度が必要であるとわかったので、それを考慮すると約60000倍のATP増幅が必要となる。現状のATP増幅技術は10000倍程度可能であるが、しかしそれだけでは十分ではない。さらにルシフェラーゼを15倍高感度であるルシフェラーゼFMに変えれば、ATP増幅技術と合わせてシグナルを150000倍に増幅できるため、理論上63.7nMのATPを発光で検出することは可能となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)キャピラリープレート上でのATP増幅反応の検討、(2)キャピラリープレートを用いた細菌計測のために、キャピラープレートを含めた消耗品の購入、各種試薬の購入を行う。
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Research Products
(2 results)