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2011 Fiscal Year Research-status Report

衝撃波風洞を利用した可燃性高速流中における回転デトネーションの実現

Research Project

Project/Area Number 23656536
Research InstitutionYokohama National University

Principal Investigator

石井 一洋  横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20251754)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords推進 / エンジン / デトネーション / 衝撃波
Research Abstract

回転デトネーションエンジンは、環状燃焼器の周方向にデトネーションを回転・定在させるものであるが、デトネーション波面直後は高圧となるため、上流側へのデトネーション伝播阻止が回転デトネーションエンジン成立の鍵を握っている。本研究は、衝撃波風洞の試験部に環状燃焼器を設置し、高速の可燃性試験気体を燃焼器上流側の推力壁に設けた小孔から流入させることで、回転デトネーションエンジンの提案概念通りの状況を作り出し、回転デトネーションエンジン成立条件の一般化を目的としたものである。 平成23年度は、可燃性高速流を生成する衝撃波風洞試験部の設計・製作ならびに予備試験を行った。まず、衝撃波理論から貯気槽となる反射衝撃波背後の状態を求め、回転デトネーションが成立可能な試験部の初期圧力を検討した。その結果、試験部では起爆のためには200 kPa程度の圧力が要求されるものの、回転デトネーション成立のためには数十kPa程度まで減圧する必要性があることがわかった。このため、試験部とダンピング部の間を隔膜で仕切り、試験部内の混合気を起爆すると同時に隔膜を破断して、試験部を減圧、引き続き上流から回転デトネーションに必要な混合気を流入させるという手法を採用した。この手法に基づいて、試験部ならびに環状燃焼器の設計・製作を行い、試験気体を導入する混合気供給システムを構築した。 引き続き環状燃焼器を設置しない状態で、化学反応を生じさせない入射衝撃波マッハ数の上限値を実験的に求めた。また、衝撃波風洞で生成された試験気流に火花放電を行うことでデトネーション遷移時間が大きく短縮され、またその再現性が高まることがわかった。これにより、試験部起爆タイミングの制御方法として、次年度に行う外部からのデトネーション導入以外の選択肢が増え、試験部起爆方法を決定する重要なデータが得られた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

回転デトネーション実現には、デトネーションによる燃焼ガス圧力よりも高い圧力で気流を上流側から流す必要がある。本研究では、衝撃波により高温・高圧となった可燃性混合気は、試験部に流入以前に自発的に化学反応を生ずる可能性がある。このため、試験部入口における試験気体圧力に上限が存在することとなる。一方、試験気体圧力が低いと、試験部内での圧力も低くなって起爆自体が困難となり、実験条件の確定が難航した。このようなジレンマを解決するために、試験部とダンピング部の間を隔膜で仕切ることを考案した。これにより試験部内の初期圧力を高め、混合気を起爆すると同時に隔膜を破断して、試験部を減圧、上流から回転デトネーションに必要な混合気を流入させるという手法をとった。 また、衝撃波風洞の欠点として試験気流の持続時間が短いことが挙げられる。試験気流を有効に利用するために、試験部内に充填した混合気の起爆タイミングの制御が重要となる。当初は外部からデトネーションを導入することを計画していたが、混合気に点火してデトネーション遷移するまでの時間短縮とそのばらつきの低減が課題であった。平成23年度は、衝撃波風洞で生成された試験気流に火花放電を行うことでデトネーション遷移時間が大きく短縮され、またその再現性が高まることがわかり、起爆タイミング制御の自由度が大きく増した。 平成23年度は当初計画通り、衝撃波風洞試験部ならびに環状燃焼器の設計・製作、混合気供給システムの構築などを行った。なお、当初計画では環状燃焼器を用いた予備試験を行う予定であったが、実験条件確定が難航したため、この予備試験は行わなかった。しかしながら、懸案事項であった回転デトネーション実験条件設定と起爆タイミング制御では、当初計画よりも大きく前進した。 以上より、本研究は「概ね順調に進行している」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

平成23年度では、実験条件の設定と実施スキームの策定が終了し、平成24年度は構築済みの衝撃波風洞および環状燃焼器を用いた試験を行い、これらのデータを基に回転デトネーションエンジン成立条件を求めることを計画している。これにあたって、(1)燃焼器上流側の推力壁の小孔径の最適化、(2)回転デトネーションの安定化、という2つの課題が考えられる。 (1)については、小孔径が小さいと必要な試験気流の質量流量が足りず、回転デトネーションが維持できずに下流に流される可能性がある。逆に小孔径が大きいと、燃焼器上流の貯気槽状態となっている試験気体が不足し、回転デトネーションが安定するまでに試験時間が持続しないことが想定される。したがって、燃焼器上流・下流の圧力計測データを基に、最適な小孔径を調べる必要性がある。 (2)に関しては、限られた試験時間の中で安定した回転デトネーションを実現するためには、試験部での起爆タイミングと、試験部とダンピング部を仕切る隔膜の破断タイミングの制御が重要となる。前者については、平成23年度に実施した試験部内で直接に火花放電を行う手法と、当初計画の外部からのデトネーション導入との両者について、確実性・再現性等の点から適した手法を採用する。後者の隔膜破断タイミングについては、数ms程度の期間で確実に隔膜を破断させる必要があるため、ニクロム線を十字型に貼り付けたPET製隔膜を使用し、ニクロム線を通電加熱することでPET製隔膜の一部を溶融して破膜制御する方法を行う。この方法が上手く行かない場合は、中圧室を設けて二重隔膜式とし、ニクロム線の手法を併用することで、確実な破膜を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度は、平成23年度に構築した衝撃波風洞を用いて回転デトネーションエンジン成立条件を求める。具体的には以下の事項を行う。1.まず環状燃焼器を用いた予備試験を行う。これには比較的低速の試験気体を燃焼器に流入させ、デトネーション導入管よりデトネーションを燃焼器に導くタイミングを変化させ、燃焼器内にてデトネーションが回転する挙動を調べる備試験を行う。2.引き続き、回転デトネーションの挙動試験を行う。この試験では、燃焼器内における回転デトネーション安定に要する時間およびその伝播挙動を、燃焼容器の周方向および軸方向に取り付けた圧力変換器を用いて調べる。このとき、燃焼器上流側の推力壁に設けた小孔の径を変化させ、低圧部に設置されている圧力変換器から、圧力波もしくはデトネーション波の上流伝播の様子を調べる。以上の事項を試験気流の速度ならびに混合気濃度を変化させて行い、各条件における回転デトネーション成立の有無を調べる。3.本研究の取り纏めとして、回転デトネーションエンジン成立条件の検討を行う。まず、得られた実験結果から回転デトネーションの安定性、上流伝播の特徴を各種モードに分類し、試験気流の速度ならびに推力壁の設けた小孔径をデトネーションの特性長であるセルサイズ、伝播速度を用いて無次元化する。この無次元パラメータに対して回転デトネーションの安定性、上流伝播の特徴についてマッピングを行うことにより、回転デトネーションエンジン成立条件の一般化を図る。

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 入射衝撃波背後への強制点火により生ずる火炎の挙動とデトネーション生成2011

    • Author(s)
      石原咲子、石井一洋、片岡秀文
    • Organizer
      第49回燃焼シンポジウム
    • Place of Presentation
      横浜
    • Year and Date
      2011-12-05

URL: 

Published: 2013-07-10  

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