2011 Fiscal Year Research-status Report
低地球軌道インフレータブル構造用材料のための耐原子状酸素性付与技術に関する研究
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23656541
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩田 稔 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80396762)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 宇宙用材料 / 原子状酸素 / インフレータブル |
Research Abstract |
本研究ではモノシランガスを利用して、高分子材料の改質を行い、低地球軌道インフレータブル構造用巨大展開膜を創出することを狙ったものである。当該年度では、有害なモノシランガスを利用可能な、除害設備つき試験装置を構築して表面改質を行う予定であった。しかしながらモノシランガスを除外する、除害設備の導入に当たって、議論を重ねてきた設備業者、大学安全衛生推進室、および福岡県庁担当者の3者間で、その安全性確保に関する認識が大きく食い違っており、当初予定していた除害設備および緊急除害設備の導入が、予算的にも安全性確保の面から見ても非常に難しい状況にある。このため本研究の計画は大幅に変更せざるを得なくなり、モノシランガスによる改質が可能であり、かつ安全性が確保できる設備の構築について、幅広く関係各所と一から議論を重ねている状況にある。このような現状から、平成23年度の予算を平成24年度に持ち越し、大幅な計画変更・支出に対処できるよう配慮した。またモノシランガスを用いて改質する高分子材料については、現在候補材料として2種類準備を進めている。1つは申請者らが既に合成し、開発した、熱可塑性のポリイミドであり、これについては材料改質に使用できるだけの分量の準備が終了している。もう1つはポリイミドフィルムの前駆体であるポリアミド酸フィルムである。このフィルムはポリイミドフィルムと異なり、反応サイトが数多く存在するため、今回の材料改質に適した材料であると考えられる。ポリアミド酸フィルムについては実際の商用フィルムの利用を想定し、宇部興産の航空宇宙材料部門に協力を依頼し、協議を重ね、材料の提供について承諾を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画していた除害設備および緊急除害設備が、設備業者、大学安全衛生推進室、および福岡県庁担当者の3者間で、その安全性確保に関する認識が大きく食い違っており、当初予定していた除害設備および緊急除害設備の導入が、予算的にも安全性確保の面から見ても非常に難しいという、予想外の状況に陥ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は早急に、当初計画していたモノシランガスによる材料改質設備の代わりになるような試験設備の実現性について、学外研究者および企業と議論を進めると共に、その設備に合わせた研究計画の変更を急ぐこととする。具体的にはモノシランガスの安全性管理が整った学外設備への装置移設や、学外設備の利用を検討しており、現在、その内容について議論を進めている段階にある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた設備の整備計画は根本的な変更を余儀なくされた。このため平成23年度の予算を持ち越し、平成24年度と合算することで、設備整備の変更計画を円滑に進められるよう配慮した。
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