2012 Fiscal Year Research-status Report
超音速プラズマジェットによる材料表面の低温処理の研究
Project/Area Number |
23656543
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
田原 弘一 大阪工業大学, 工学部, 教授 (20207210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上辻 靖智 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (00340604)
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Keywords | プラズマジェット / 超音速流 / 熱力学的非平衡 / 材料加工 / 表面処理 / 低温処理 / 溶射 |
Research Abstract |
極度の熱力学的非平衡状態にある超音速プラズマジェットを用いた、材料加工法を開発することを目的として研究を行った。 1.新しいコンバージェント・ダイバージェントノズルを備えた材料加工用直流アークジェット装置を設計・製作した。ノズルは脱着可能であり、その形状を自由に変更できるように設計した。軸方向磁場の印加も可能にした。作動ガスにアンモニア NH3、窒素/水素混合ガス N2+nH2(水素モル比nは可変、n=3はアンモニア模擬ガスに相当)、窒素、メタン、二酸化炭素を用いて、放電電流(放電電流50~300A)と作動ガス流量をパラメータとして変化させ、放電電圧、放電室・ノズル内各部の圧力を測定した。 2.音速プラズマジェットを基材(チタン、鉄、アルミニウム、窒化鋼など)に直接照射し、その表面の改質を行った。基材には直流バイアス電圧を印加し、基材の温度を基材の複数個所で計測した。ノズル形状、プラズマジェット装置作動条件、基材バイアス電圧を変更し、照射後の表面特性を調べた。硬度の径方向・深さ方向分布を測定し、X線散乱(XRD)分析を行った。その結果、基板温度500度程度の低温においても、ビーカース硬さ1000を超える硬質窒化チタン膜の製作に成功した。 3.数値流体力学的な巨視的計算と基材表面の原子挙動の微視的計算により、基材とプラズマとの干渉状態を調べ検討した。超音速反応性プラズマ流の特性、基材の表面物性の変化を検討し、本方法の、基材の温度を上げない表面改質法(表面硬化法(主に窒化処理))としての可能性、今後の改良すべき点を検討した。その結果、改良点とともに、最適な作動条件を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音速プラズマジェットの安定作動に成功し、その非平衡プラズマの計測、流れ場の数値計算も順調である。さらに窒化チタンの硬質膜の生成に成功したので、来年度の飛躍的発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
原材料粉体(チタン、鉄、アルミニウム、窒化鋼など)をプラズマジェット装置に導入し、溶射を行う。導入方法、粉体条件とノズル形状、プラズマジェット装置作動条件、基材に印加するバイアス電圧を変更し、溶射後の皮膜特性を調べる。基材温度の計測も行う。膜厚と硬度の径方向・深さ方向分布を測定し、X線散乱(XRD)分析を行う。プラズマ中の原材料粉体の状態を高速度カメラ、赤外線カメラ、レーザードップラー速度測定装置を用いて推定する。数値流体力学的な巨視的計算と粉体材料表面の原子挙動の微視的計算により、粉体とプラズマとの干渉状態を調べ、実験結果と比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越額が生じた理由は,プラズマジェット装置の構造を若干変更(改善)することにより,電極損耗が低減し,その交換回数が少なくなったことによる。 平成25年度研究費として、溶射用プラズマジェット装置の電極材料、電気絶縁材料、作動ガス、原材料粉体(チタン、鉄、アルミニウム、窒化鋼など)など消耗品費が主に必要である。さらに膜分析費が必要である。
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