2011 Fiscal Year Research-status Report
メカノクロミズム金属錯体を用いたスペースデブリ衝突貫通穴の位置表示に関する研究
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23656544
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
槙原 幹十朗 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60392817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 美貴 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70306497)
下瀬 滋 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 主任開発員 (80443282)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 宇宙インフラ / メカノクロミズム金属錯体 / スペースデブリ / 航空宇宙工学 / 光機能性材料 |
Research Abstract |
スペースデブリの限界サイズ・速度と宇宙ステーション設計から2段式軽ガス銃実験装置に換算する次元解析を行い,宇宙でのデブリ衝突を模擬する上記のアルミ板二重防護壁構成を上記のように算出した.研究想定である空気漏れ穴が生じるデブリ衝突を実現するような,二枚目防護壁のアルミ板構成となっている.高速衝突衝撃の高温に反応して,発光性金属錯体の融合により,数時間程度の発光寿命を有するメカノクロミックな発光材料を設計した.分子動力学法に基づく超高速衝突シミュレーションを自作した.その計算によって,剥落・飛散しにくい塗料物質の良好な物性値を算出した.具体的には,塗料物質の吸着・粘性値,及び,塗布厚さをパラメータとして変化させた.ここで目標とするのは,衝突貫通穴周りに塗料物質が残っていることであり,衝突中心そのものの裏面の塗料物質の剥落・飛散は許容する.なぜなら,超高速衝突では衝突によって標的板内部に衝撃波が走り,アルミ板表面上で局所的に大きな圧力差が生じるので,衝突中心の塗料の剥落・飛散は現実的に避けられないからである.超高速衝突の高圧負荷の状態でもメカノクロミズム金属錯体が剥落・飛散しないように保持する塗料物質を選定する必要がある.塗布塗料物質の良好な吸着・粘性値を実験前に求める目的で,衝突シミュレーションプログラムを援用する.事前数値解析により実験上での試行錯誤の負担が減らせる.スペースステーションの防護壁を模擬した二枚のアルミ板からなる標的板と固定冶具を製作した.超高速衝突でも二枚の標的板が動かないように,2段式軽ガス銃の衝突チャンバーにしっかり固定する冶具を作製した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東北大学の震災の被害がありながらも,当初の計画通り,研究が進んでいるから.独立行政法人・宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所の新型二段ガス銃の申請も受理された.分子動力学法に基づく超高速衝突シミュレーションを自作した.発光寿命を有するメカノクロミックな発光材料を設計した.超高速衝突シミュレーションによって,パラメトリックスタディを行った.スペースステーションの防護壁を模擬した二枚のアルミ板からなる標的板と固定冶具を製作した.今年度に上記が達成できたことは大きな成果である.
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Strategy for Future Research Activity |
特性を取得したメカノクロミズム金属錯体と選定した塗布塗料物質を混ぜ合わせる.メカノクロミズム金属錯体は粉末状であるので,混合作業は容易である.超高速衝突シミュレーションによって算出した最適塗布厚さに従い,その混合塗料を製作したアルミ標的板の二枚目に塗る.最高温度到達の違いによってメカノクロミズム金属錯体の挙動の違いを確認する為に,アルミ板全体に満遍なく塗布する.計測装置として,高温放射温度センサー,超高速度カメラ,二軸ひずみゲージ,ホームビデオを設置する.ホームビデオは,衝突直後からのメカノクロミズム金属錯体の発光変化を時系列に蓄積する為に設置する.以上のセッティングが完了した後,実際に超高速衝突実験を行う.まず,メカノクロミズム金属錯体が予期した通り衝突貫通穴周辺で発光するかどうかを確認する.超高速衝撃の急激な温度・圧力上昇によって,組成が変成して発光機能が失われた部分があれば,その貴重なデータを保存し,温度・圧力の急激な上昇に耐性のある分子設計の改良に生かす.超高速衝突実験から得られる温度分布,歪分布,塗料の剥落状況をつき合わせて,メカノクロミズム金属錯体の改良及び塗布塗料物質の選定直しを行う.衝突実験とフィードバックを繰り返し,研究期間内で最良なメカノクロミズム金属錯体の分子設計と塗料物質の物質決定と塗布厚さを決定する.これまでの研究成果を学会で発表する.更に英文学術論文として纏め国内外に向けて公表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり,平成24年度請求額とあわせ,次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である.
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Research Products
(1 results)