2011 Fiscal Year Research-status Report
超伝導センサーを用いた舶用液体水素タンク内部の3D液面揺動計測
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23656550
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
武田 実 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 教授 (50206992)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 水素 / 超伝導材料・素子 / スロッシング / 水素液面 / 3D計測 |
Research Abstract |
2011年3月に起こった東日本大震災および福島第一原発事故により、日本のエネルギー問題がクローズアップされている。原発離れが進む中、代替エネルギー源として再生可能エネルギーが注目されており、その二次エネルギー媒体として水素が脚光を浴びている。本研究では、極低温液体水素(沸点20 K)を海上輸送するための基盤技術の開発を目指して、超伝導MgB2(二ホウ化マグネシウム)線材をベースとした液面センサーの動的液面検知特性に関する研究等を行い、主に以下の研究成果を得た。1.液体水素の液面揺動の光学観測:液体水素用小型容器、横振動試験機およびデジタルCCDカメラを用いて、液面センサーのない状態で液体水素の液面揺動の光学観測を行った。横振動を1回与えた後に液面が減衰振動する状態を画像解析し、振動理論と比較したところ良い一致が見られた。2.超伝導センサーの動的液面検知特性:電気抵抗式の外部加熱型MgB2液面センサー(長さ200 mm)を作製し、液体水素用小型容器の内部へ設置した。始めに、小型容器に液体水素を入れ、自然降下する液面位置とセンサー出力の関係、すなわち静的液面検知特性を明らかにした。次に、液面が減衰振動する状態で、CCDカメラの画像データとセンサー出力を同時計測した。画像解析結果とセンサー出力結果を比較したところ、液面変化に対するセンサーの応答時間は0.1 s以下であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超伝導MgB2(二ホウ化マグネシウム)線材の作製において、物質・材料研究機構の熊倉浩明センター長より、連携研究者として全面的なバックアップがある。液体水素実験において、岩谷瓦斯株式会社より実験場所の提供および安全管理の協力がある。また、大学院生2名より実験補助・データ整理の協力がある。
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Strategy for Future Research Activity |
液体水素の液面揺動の光学観測結果および超伝導センサーの動的液面検知特性の実験結果を踏まえて、超伝導センサーを用いた3D液面揺動計測に挑戦する。主な研究は、以下のとおりである。1.小型容器を対象とした3D液面揺動計測:長さ200 mm~800 mmの液面センサーを数本作製し、個々のセンサーの静的液面検知特性を調べる。その後、これらのセンサーを小型容器内部へ設置する。始めに、小型容器に液体水素を入れ、その後に大気圧および加圧状態で横振動を1回与えて、すべてのセンサー出力を同時計測する。出力信号を液面位置に変換し、これを時系列解析することにより3D液面揺動の画像表示を試みる。次に、一定の周期で横振動を与え続けて、液体水素の3D液面揺動の時間発展について調べる。2.大型容器を対象とした3D液面揺動計測:長さ1500 mm程度の液面センサーを10本程度作製し、個々のセンサーの静的液面検知特性を調べる。その後、これらのセンサーを大型容器(2000リットル)内部へ設置する。始めに、大型容器に液体水素を入れ、これをトラックに積載する。次に、トラックで構内を低速走行しながら大型容器に振動を与え続けて、大気圧および加圧状態ですべてのセンサー出力を同時計測する。計測データより、大型容器内部の液体水素の3D液面揺動の時間発展を調べ、小型容器のそれと比較する。3.揺動防止板の効果:粘性係数の小さい液体水素は、LNG(液化天然ガス)と比べて非常に大きい液面揺動を示すと考えられる。そこで、これを防ぐための揺動防止板を設計・製作し、小型容器を用いて液体水素の液面揺動を3D計測することにより、その効果について調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額51,000円は、予備実験を減らしたことによる消耗品費(液体窒素経費)の支出減少に伴うものである。次年度の研究経費(直接経費:1,351,000円)の使用計画は、以下のとおりである。設備備品費:830,000円、消耗品費:321,000円、旅費:200,000円
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