2011 Fiscal Year Research-status Report
空隙スケール・マイクロCTに基づく原油回収ダイナミクスの解明
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23656562
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
末包 哲也 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (30262314)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | EOR / ポアスケール / サーファクタント |
Research Abstract |
初期状態としてオイルで飽和されている多孔質媒体を考える.ここに水を注入すると一部のオイルは界面張力によりトラップされる.トラップされているオイルの周囲の水の中に形成される流動場はこの後に注入されるサーファクタントがどのように界面に到達するかを把握する上で重要な因子となる.本研究では,サーファクタントフラッディングの高効率化および低コスト化に対する指針を得ることを目的として,単純な多孔質媒体を対象として,サーファクタントフラッディングの動作メカニズムの観察を行った.併せて,水の流動場に擾乱を与え,効果的にサーファクタントを界面へと到達させる方法として,ガス注入の効果について検討を行った.5種の径のポア1502個が幅90 - 198 μmの5種の幅を有する流路で接続されたガラスプレートを用いた.ポアの配位数は4である.プレートは初期状態としてドデカンで飽和する.次いで,水,(空気),サーファクタントの順に,一定流速で注入した.流速はキャピラリー数が1.0 × 10-6になるようにした.これらの実験で得られた知見は以下の通りである.トラップされたオイルに隣接するポアの内部では水は流動していない.よって,ガス注入を行わない場合,サーファクタントがトラップされたオイルの界面に容易に到達できず,生産性が制限される.ガス圧入を行うことは,ガスが主に水で満たされている部分を流動するために,直接的にはオイルの生産性に寄与しない.しかし,ガス圧入後にサーファクタントを圧入すると,ガスが分散し,ネットワーク状態でトラップされ,サーファクタントの流れをブロックする.この結果,サーファクタントは流路を変えられ,水と油の界面に到達し,油の生産性が向上する.また,これらの2次元実験を3次元へと発展させX線CTによる計測も行い同様な結果を得ている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,原油を貯留層から生産する際の,回収率の飛躍的な向上を目指して,岩石多孔質内部の空隙スケールの流動現象のダイナミクスを解明することを最大の目的としている.これまでに2次元実験で明らかになってきている原油回収に関する諸現象を,独自に開発してきたマイクロフォーカスX線CT装置を駆使した可視化手法により,多孔質の空隙スケールの界面張力や濡れ性に支配される水・油の二相流動を高分解能で可視化することにおおむね成功し,いくつかの新しい知見を得ており,研究は順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
ガラスビーズ充てん層や砂充てん層など比較的計測が容易な多孔体を対象として,提案しているシステム及び計測手法を適用し,スナップオフなどのオイルトラップ現象の可視化実証試験を行う.数値的な目標としては,画素サイズ10 umで,600×600×600ピクセル以上の3次元画素データを経時変化として取得することとする.また,昨年度の研究結果より,現象はオイルの多孔質媒体への濡れ性が大きく影響していることが判明したため,濡れ性の影響についても検討を進めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を遂行する上で必要となる充填層および供試薬品等を購入する.また,昨年度の研究成果発表を行うため,英文論文校閲に充てるとともに,国内学会参加費並びに旅費を支出する予定である.なお,繰越額である11,128円は既に執行を終え,4月末に支払いが完了している.
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