2012 Fiscal Year Research-status Report
空隙スケール・マイクロCTに基づく原油回収ダイナミクスの解明
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23656562
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
末包 哲也 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (30262314)
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Keywords | 原油回収 / トラップ / 流動場 / X線CT |
Research Abstract |
トラップされたオイル液滴周囲の流動場計測を試みる.X線CTで撮像を行う際に,水とオイルを区別しやすくするように通常,水にヨウ化ナトリウム(NaI)を溶解させ,X線吸収能を上昇させている.NaI水溶液と純水を用いることにより,速度場計測に必要なマーキングを行うことを試みた.また,ヨードデカン,ヨードドデカンなどのオイルを用いるとオイルの方のX線吸収能をコントロールすることができるとともに,密度を水と一致させることが可能であり,浮力の影響を排除した実験が可能であることが見いだせた. これらの手法を適用して,トラップされたオイルの周辺の流動場の可視化を試みた.ガラスビーズ充填層の場合,トラップされている油に隣接する空隙においても水は流動しており,離れた空隙と比べて流速に変化はほとんどないことがわかった.一方で界面活性剤などを注入した場合,トラップされたオイルが流動していないために界面に容易には到達できない.隣接するポアに至るまでは対流で運ばれるが,その後,拡散で輸送されれていることが示唆された. 今後,原油回収の効率を高めるために,ガス注入などの方法を用いることで,流れ場を乱し,界面活性剤の輸送を促進することなどが考えられる.また,これらの現象を数値シミュレーションから分析するために,格子ボルツマン法を用いた計算コードの開発を進めた.CTデータを取り込んでの簡単な系での解析はほぼ可能な状況に至った.今後,デジタル・コア・ラボラトリーの基礎となる開発を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主要なテーマとして「砂岩を対象とした可視化試験」および「流動現象の高解像度可視化・原油トラップメカニズム解明」を挙げている. 前者については主要な砂岩であるベレア砂岩を対象として,特に,砂岩固有の層理面がオイルの流動やトラップにどのような影響を与えているか可視化を行った.高解像度撮像を行うためには岩石コアを極力小さくする必要があるが,コアが小さくなると流体注入のコントロールが非常に困難となってくる.小型のコア試験を設計製作することでオイル,水,ガスのインジェクションの切り替えに伴う擾乱を抑えた実験を行うことが可能になった.これらのコア試験装置を用いて数種類の岩石コアにおける原油生産プロセスを空隙スケールで可視化することに成功した. 「流動現象の高解像度可視化・原油トラップメカニズムの解明」については,ガラスビーズ充填層を用いて行った.特に,水,油,ガスの相をCT撮像画像で明瞭に区別するためのドーピング手法を開発した.これらの方法により高解像度撮像を行い,空隙スケールでの以下のような現象を観察することに成功した.スナップオフ現象と呼ばれる,濡れ性により空隙内部に水が自発的に侵入し,オイルの連続性を切断するプロセスを可視化した.また,同じ空隙内部に水が濡れ性により,膜状にトラップされる様子を可視化した. 以上のことから本研究はおおむね順調に進展していると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
可視化試験についてはおおむね計画通り進展している.今後は計測データに基づいて実験的に計測することが高コストであり,非常に長時間にわたる計測が必要となる毛管圧曲線や透過係数の数値的推定手法の開発を進める.X線CT装置の急激な高性能化に伴い,これらの手法は「デジタル・コア・ラボラトリー」とも呼ばれている. 本研究では,CT装置を用いて高解像度撮像を行った空隙スケールをもとに,格子ボルツマン法と呼ばれる流動シミュレーション手法を用いて,空隙内部の流動を解析し,実験を経ることなく直接的に流動パラメーターの推定を可能とする手法を開発することを最終的な目的とする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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