2013 Fiscal Year Annual Research Report
空隙スケール・マイクロCTに基づく原油回収ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
23656562
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
末包 哲也 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (30262314)
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Keywords | 多孔質 / X線CT / コア分析 / 格子ボルツマン法 / 二相流 |
Research Abstract |
デジタルコアラボラトリーの構築に向け,マイクロフォーカスX線CTにより取得した多孔質媒体の空隙形状に対して格子ボルツマン法(LBM)による直接数値シミュレーションの適用を試みた.実験では直径400ミクロンのガラスビーズ充填層にオイルを飽和し,水を注入してオイルを生産するプロセスを模擬した.この充填層から油が生産されるプロセスをX線CTにより可視化した.得られた多孔質媒体の形状からLBMを適用する数値的な多孔質形状を取得した.使用したLBMモデルはShan-Chen 型の二相流モデルで原油生産プロセスの計算に実績のあるPan らのモデルを用いた.なお,このモデルは将来的に多重緩和を導入することにより広いパラメーター範囲のでの安定性の向上が可能である.取得した多孔質に対して安定したシミュレーションを行うことができた.オイルは98%の回収することができ,これは実験結果の95%と非常に近い値になっている. これを踏まえて次に,多孔質表面の濡れ性に関する検証を行った.水に対して濡れやすいガラスピーズ同様にオイルに対して濡れやすいガラスビーズを用いて原油生産実験を行うとともに数値シミュレーションを行った.その結果,原油回収率は実験及び計算ともに93%および85%に低下した. 濡れ性の変化による飽和率低下は数値シミュレーションで再現することができたが,空隙スケールでみたときのオイルが残留する位置については実験と数値シミュレーションで相違がみられた.比較的均質な多孔質媒体であるが,数値シミュレーションの対象としたスケールよりも大きいスケールで流動場の不均質性が存在していることが考えられる. マイクロフォーカスX線CTによる多孔質形状の取得とこれにLBMを適用し,多孔質の流動特性の取得が可能であることを実証することができた.
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