2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656564
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水永 秀樹 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40226246)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 物理探査 / 電気探査 / 強制分極法 / 時間領域IP法 / 鉱種の識別 / 資源探査 / 金属鉱床探査 |
Research Abstract |
鉱物資源の大部分を海外に依存している我国にとって、鉱物資源の安定確保は重要な課題である。特に、環境問題やエネルギー問題と密接に関連したハイテク製品や材料に使用されるレアメタルやレアアースは少数の国に偏在するため、レアメタル資源の永続的な安定確保は難しい状況にある。鉱物資源の探査には電気探査の一種であるIP法(強制分極法)が使われ、充電率の大小で鉱床の存在可能性やその資源量を評価している。しかしながら、IP法データに含まれる貴重な情報が活用されていないため、有用な鉱物かどうかの鉱種の識別までには至っていない。本研究では、鉱床探査において鉱種の識別を可能にするための新しいデータ解析法並びに探査装置開発のための基礎研究を実施した。 平成23年度は、金属鉱床を探査するための時間領域IP法の探査理論の研究とシミュレーションプログラムの開発を行った。また時間領域IP法探査機で最も重要な計測部の設計を行った。探査理論の研究では、ダイポール・ダイポール電極配置による複素比抵抗法の多層構造モデルの理論式を導いた。この理論式は周波数領域の式なので、時間領域に変換するために逆ラプラス変換を用いて時間領域での理論式を導いた。次に、この理論式を用いて多層構造のシミュレーションプログラムを開発した。次に2次元構造のシミュレーションを行なうため、準3次元モデルを仮定した周波数領域の順解析プログラムを開発した。計測システムの研究では、微小電位を高精度で計測するための計測システムを試作した。計測部には、市販の小型計測モジュールを用いて、計測部の小型化を行った。通電用のトランスミッタには、周波数可変で矩形波が流せるトランスミッタの試作機を開発し、基礎実験を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間領域IP法の理論的な研究やプログラム開発は、2.5次元モデリングプログラムまで当初の計画通りに順調に進んだ。さらに、時間領域IP法をフィールドで実施するための基礎研究として、任意の周波数の矩形電流を流せるトランスミッタを試作して室内実験を実施することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
データ解析プログラムについては、2.5次元フォワードプログラムを利用してインバージョンプログラムの開発を行う。また、測定回路を大電流用に改良して、フィールドでのテスト実験を実施する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費の多くは、時間領域IP法の測定システムの開発に必要な電子部品等の購入に充てる予定である。また、旅費は平成23年度の研究成果の発表とフィールド実験のために使用する予定である。
|