2011 Fiscal Year Research-status Report
化学分解・生分解性結合を導入したケミカルリサイクル可能なポリウレタン材料の開発
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23656568
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
橋本 保 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00198681)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 高分子合成 / 高分子材料 / ポリウレタン / エステル / リサイクル / 分解 / 化学分解 / 生分解 |
Research Abstract |
ケミカルリサイクルが困難なポリウレタン材料に,化学分解および生分解可能な結合を導入して,使用後は特定の処理条件下で分解してポリウレタンの原料であるポリオールを再生,回収できる新型の汎用ポリウレタン材料を開発することが本研究の目的である。本研究では,植物由来の分解性エステル結合を汎用ポリウレタン材料に導入して目的を達成した。 ポリウレタンゴム・エラストマーの最も一般的な原料ポリオール[ヒドロキシ基(OH基)を複数持つ分子量数千の低分子量ポリマー]であるポリテトラメチレングリコール(PTMG)の末端ヒドロキシ基を三臭化リンでブロモ化してPTMG-Brを得た。また,テトラヒドロフランのリビング開環重合を利用して,分子量が規制されたPTMG-Brも得た。こうして合成したPTMG-Brとひまし油由来リシノレイン酸を反応させエステル化し,末端にひまし油と同じエステル(リシノレイン酸エステル)構造を有し,なおかつヒドロキシ基を2個持つPTMG-RAを合成した。こうして得られたPTMG-RAを用いて,通常のポリウレタン製造法に従い,ポリウレタンを合成した。すなわち,過剰のジイソシアナート次いでジオール化合物を反応させ,ポリウレタンPTMG-RA―PUを得た。 得られた分解性エステル基を有するPTMG-RA―PUは,従来の原料ポリオールであるPTMGから合成されるポリウレタンPTMG-PUと同様な熱的性質と力学的性質を示した。たとえば,PTMG-RA―PUの熱分解温度と弾性率は,PTMG-PUとほぼ同じであった。PTMG-RA―PUをTHF/エタノール混合溶媒中,水の存在下で水酸化カリウムを作用させると,ポリウレタン分子中のエステル結合が加水分解し,PTMG-RA―PUのポリ(テトラヒドロフラン)セグメントの原料となるPTMGが90%以上の高収率で再生できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の分解性基を有する新型のポリウレタンPTMG-RA―PUを合成するための原料となる,末端にひまし油と同じエステル(リシノレイン酸エステル)構造を有し,なおかつヒドロキシ基を2個持つポリオールPTMG-RAの新規合成を達成した。この原料ポリオールを開発するにあたり,制御重合法であるリビング開環カチオン重合を利用したPTMG-RAの合成も可能であることを見出した。これにより,PTMG-RA―PUのポリ(テトラヒドロフラン)セグメントの分子量を精密に調節できることになり,目的のポリウレタンPTMG-RA―PUに付与できる物性の範囲が広がり,より汎用的な性質を持たせることができるようになった。 さらに,PTMG-RA-PUのアルカリによる化学分解の検討を実施し,当初の分子設計の通りエステル結合を選択的に分解させ,原料のPTMGが高収率で再生,回収できることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度合成方法を確立して得た分解性エステル基を有するPTMG-RA―PUの生分解性を,リパーゼを用いた酵素加水分解反応により検討する。分解反応の進行を追跡して分解生成物の構造と生成量を分析し,温和な条件下で生分解が進行する反応条件を見出す。 準備としてすでに,原料ポリオールであるリシノレイン酸エステルを持つPTMG-RAのリパーゼによる酵素加水分解反応を検討した。その結果,37℃,中性条件下での酵素分解では,24日間で23%のリシノレイン酸エステルが分解し,分解生成物としてPTMGが再生することを確認している。 合成した分解性エステル基を有するPTMG-RA―PUの性能の評価を詳細に行う。また,環境中でのこれら物性の経時変化を測定する。 PTMG-RA―PUの分解反応により再生,回収されたPTMGを用いて再びポリウレタンを製造し,ケミカルリサイクルすることがポリウレタンの物性に及ぼす影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薬品 30万円ガラス器具 40万円旅費 20万円計 90万円
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