2011 Fiscal Year Research-status Report
核融合装置における再堆積層形成機構解明への方向性からのアプローチ
Project/Area Number |
23656579
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
増崎 貴 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (80280593)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | プラズマ・核融合 / プラズマ・材料相互作用 / 堆積層形成 / マテリアルプローブ / 方向性 |
Research Abstract |
本研究は、磁場閉じ込め型核融合装置真空容器内において再堆積層がどこに、どのように形成されるのかを、単純な「方向性マテリアルプローブ(DMP)」を用いて明らかにすることを目的とする。核融合科学研究所のトーラス状ヘリカル型装置LHDのプラズマ真空容器内の特徴的な場所にDMPを多数設置し、堆積物飛来方向マップを得る。並行して名古屋大学の直線型プラズマ装置NAGDISにDMPを設置し、単純な系における制御されたプラズマ放電実験時に得られるDMP上の堆積層分析を行う。 LHDはトーラス方向に10セクションに分けられるが、平成23年度はその内の一つのセクションの、トーラス内側赤道部、トーラス内側下、トーラス外側下、トーラス外側赤道部など特徴的な場所に10個のチタン製DMPを設置した。LHDの平成23年度プラズマ実験は7月末から約3ヶ月実施され、これらDMPはその間、プラズマ・壁相互作用環境下に置かれた。 この実験期間中、平成22年度に試験的にLHDに設置した5つのDMPの分析を実施した。この内ダイバータ板近傍に設置したDMPに、方向性のある堆積層が形成されていることが観察された。エネルギー分散型X線分析(EDS)によるDMP表面の分析により、組成ごとの堆積分布を調べた。炭素及び鉄について同様の堆積分布が得られた。この分布は目視観測と矛盾しない。この結果はDMP設置位置において、炭素と鉄が同じ方向から飛来して堆積したことを示す。 平成23年度実験終了後に10個のDMPを取り出し目視観察を行い、複数のDMPに方向性のある堆積層が形成していることが分かった。この内1個のDMPについてEDSによる分析を行い、炭素と鉄が異なる分布で堆積していることを明らかにした。 九州大学の球状トカマク型装置QUESTの平成23年度秋冬実験時にDMPを設置する機会を得た。分析は平成24年度に実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では平成23年度に、トーラス状ヘリカル型装置LHDの他に、直線型プラズマ装置NAGDISにおいて単純な系における堆積層形成機構をDMPを用いて調べることを計画していたが、種々の理由により実施できなかった。 一方で、平成24年度に行う予定であった炭素や鉄などの組成ごとの堆積分布計測を平成23年度に実施することができた。 以上から、おおむね順調に進展している、と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、23年度のLHD及びQUEST実験でそれぞれの真空容器内に設置したDMPの分析を進める。平成24年度の実験のために新たなDMPを製作し、両装置に設置する。分析は、DMPの特徴である目視による堆積層形成の方向性確認と、EDSを用いた組成ごとの堆積分布分析を行う。また、23年度に計画していた直線型プラズマ装置における制御されたプラズマ条件下でのDMPを用いた堆積層形成実験を行う。単純な系での堆積層形成機構を理解することを目的とする。23年度に得られた成果をまとめ、ジャーナルへ投稿する。 平成25年度は、24年度の各装置実験でDMP上に形成された堆積層の分析を行う。プラズマ及び中性粒子輸送シミュレーションを実施し、23年度、24年度実験で得られたDMP分析結果と比較することにより、堆積層の方向性形成機構の理解を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品としては、方向性マテリアルプローブ製作、直線型プラズマ装置用炭素ターゲット、真空及び電気部品を購入することを計画している。 旅費としては、九州大学及び名古屋大学での実験及び分析、国内学会における成果発表、国際会議における情報収集のための出張で使用することを計画している。 また、その他として、論文投稿及び別刷りの費用を支出することを計画している。
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