2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656582
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
越水 正典 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40374962)
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Keywords | 超伝導 / X線照射 / キャリアドープ |
Research Abstract |
より良好な超伝導特性を有する材料の開発は、送電などでの省エネルギー化を図る上で不可欠であり、膨大な数の超伝導材料がこれまでに開発されてきた。超伝導材料開発の上での一つの有力な手段は、異なる価数のイオンの導入や、欠陥形成などによる、化学的手法を通じた荷電キャリアのドープである。しかしながら、化学ドープによる手法には、結晶科学的制約が存在するため、ドープするキャリアのタイプや濃度を自由に変化させることは困難である。この制約を破る手法として、電極からの電場印加や光励起によるキャリアドープが近年注目されている。これらの手法により、外部からのキャリアドープが可能となり、より幅広い電子状態を対象とした超伝導状態の探索が可能となった。本研究は、これら2つの外部ドープ手法よりも幅広い対象に適用可能な、放射線によるキャリアドープを通じた超伝導特性の向上を実現することを目的として研究を進めた。 具体的には、YBCO系やGdBCO系の銅酸化物超伝導体に対し、X線照射下で、電気抵抗の温度依存性を観測した。今年度には、試料の組成(主に酸素欠損の度合い)を変化させて超伝導特性を変化させ、X線照射による超伝導転移端温度の上昇幅は、照射前の臨界温度と相関があり、酸素欠損の度合いに応じて「不足」したキャリアをX線照射により補うことが可能であることが示された。しかし、この相関にはばらつきもあり、酸素欠損以外の要因が、照射時の特性変化に影響することも示唆された。
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