2013 Fiscal Year Annual Research Report
難測定核種カルシウム41を高エネルギー加速器質量分析により超高感度で検出する試み
Project/Area Number |
23656586
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
笹 公和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (20312796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末木 啓介 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90187609)
松四 雄騎 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90596438)
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Keywords | カルシウム41 / 加速器質量分析法 / 放射性核種 / 原子力計測 / 年代測定 |
Research Abstract |
通常の分析手法ではその検出さえも困難な長寿命放射性核種カルシウム41 (Ca-41:半減期10.3万年)について、大型タンデム加速器を用いた高エネルギー加速器質量分析(Accelerator Mass Spectrometry: AMS)による超高感度検出法の開発を試みた。Ca-41は原子力関連施設などからの放射性廃棄物におけるクリアランス評価対象核種であるが、検出が困難なことから未だその評価手法は確立されていない。また、Ca-41は炭素14(C-14:半減期5,730年)年代測定法を補う新たな年代測定指標となる可能性を有している。 本研究では、AMS測定の為のフッ化カルシウム(CaF2)試料の調製方法を確立して、試験測定によりCa-41の検出手法を確認した。標準試料(CaF2)については、Ca標準溶液に48%フッ化水素酸を加えてCaF2を生成させ、AMS測定用のCaF2試料を作製した。Ca-41検出用の多極型ガス検出器の開発を行い、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSを用いて、イソブタンガス中での粒子エネルギー損失計算による最適なガス圧力(0.4 mg/cm2)を推定した。AMS測定では、加速電圧8 MVでのCa-41加速試験を実施した。試料はCaF2+ZnO+Agを用いた。Csスパッタリング負イオン源からは、CaF3-ビーム(~20 nA)を得ることに成功し、荷電変換によりCa-41(価数5+)を43.3 MeVまで加速して検出を試みた。加速電圧制御用のパイロットビームとしては、Zn-66(価数8+)を用いた。核種検出の試験結果として、最終的にはK-41の影響が大きく、2次元測定スペクトル上の粒子識別は出来なかった。しかし、K-41等の妨害同重体を試料前処理により削減することが出来れば、Ca-41のAMS測定による高感度検出が可能であることが分かった。本研究課題の研究成果については、現在、筑波大学で開発中の6 MVタンデム加速器質量分析装置に適用する予定である。
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Research Products
(9 results)