2012 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギーイオンビーム照射による直鎖炭素分子の生成
Project/Area Number |
23656591
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
城丸 春夫 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (70196632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間嶋 拓也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50515038)
若林 知成 近畿大学, 理工学部, 准教授 (30273428)
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Keywords | ポリイン / 炭素クラスター / 有機溶媒 / フラーレン / 高エネルギーイオン照射 |
Research Abstract |
希ガス雰囲気下でグラファイトのレーザー蒸発を行うと、直鎖、環状、球殻状の炭素クラスターが生成することが知られており、このうち球殻状のクラスター(フラーレン)だけは大気中や有機溶媒中で安定なクラスター(分子)である。一方、偶数個の炭素原子で構成される直鎖炭素クラスターを水素で終端したH-(-C... はポリインと呼ばれ、安定化された炭素クラスターと考えることがでる。本研究ではイオンビーム照射により生成した炭素クラスターを有機溶媒中に捕集し、安定分子として存在する炭素クラスターやその誘導体を同定すること目的とした。同様の条件でレーザーアブレーション実験も行った。また高エネルギーのプロトンをフラーレン固体に照射し、H@C60をはじめとするC60誘導体の生成を目的とした実験を行った。 実験は主として京大のバンデグラフ加速器を用いて行った。最終年度のビームタイムでは、ヘリウムガス流中でグラファイトに2MeVのプロトンビームを照射し、気体中に放出された分子種をヘキサン溶媒に補足した。溶媒を冷却して蒸発を抑制した。HPLCおよびUV測定により、生成物の分析を行ったところ、多様な有機化合物の生成を確認した。また試料をヘリウムとヘキサン、オクタンとの混合気体に変えて照射実験を行い、生成物の分析を行った。この実験では飛程を短くするため、核子あたりのエネルギーが半分となる水素分子イオンビームを使用して照射を行ったところ、標的によって異なる有機物の生成を確認した。 C60標的の照射実験では、まず予備実験としてC60キャスト膜に対してプロトンビームを照射した。京大で照射試料のESR測定を行ったが、明確な信号は得られなかった。そこで、ビームライン中にC60ペレットを設置し、大電流水素分子イオンビームを長時間照射した。首都大で照射試料の詳細な分析を行ったが、H@C60の信号は依然検出限界以下であった。
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Research Products
(2 results)