2011 Fiscal Year Research-status Report
回転コヒーレンスを利用したレーザー同位体分離の原理実証と重元素への実現性評価
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23656594
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
赤木 浩 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (70354818)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 原子分子物理 / 同位体分離 / 分子制御 |
Research Abstract |
回転コヒーレンス同位体分離法の原理実証実験を、窒素分子の同位体混合ガスに対して行った。この同位体分離法では、既存の分子レーザー同位体分離法では困難であった重元素同位体に対する高効率分離が実現すると期待される。窒素同位体混合ガス(14N2および15N2)をアルゴンガスで希釈したガスを真空チャンバー内にパルスバルブを通して導入し、そのガスジェットに対して直線偏光・短パルスレーザー光(チタンサファイア再生増幅器出力、λ=795nm、Δτ=60fs)を集光した上で2パルス照射した。このとき、1パルス目で同位体分子の分子回転ラマン過程を誘起し、回転周期ごとに分子が配列する回転波束を作り出した。同位体分子で回転周期が異なるため、分子配列する時刻が異なる。一方、2パルス目で同位体選択的に非共鳴多光子イオン化した。非共鳴多光子イオン化は、分子配列状態に依存するため、2つのパルス間の遅延時間に応じてイオン化確率が変化する。パルス間の遅延時間に対する各同位体分子のイオン収量の変化を測定し、同位体比が0.85~1.22の間で変化することを明らかにした。すなわち、本手法で同位体が原理的に分離可能である事を実験的に示した。また、実験結果と同じ条件での理論計算を行い、実験結果が妥当である事を明らかにした。さらに、多パルス照射を利用して回転波束を作ることで選択性を向上させられることを明らかにした。多パルス照射による同位体選択性向上を実証するために、分子配列に連続した4パルスを用いた実験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、実験によって同位体分離の原理を実証することが出来た。現在は選択性を向上させるための理論計算・実験に着手しており、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
同位体選択性を向上させるために、理論計算を活用して最適な条件を探索する。具体的には、(1)多パルス照射利用した分子回転波束生成を行う、(2)ガスジェットの温度を下げる、(3)照射レーザー強度を上げる、をパラメータとする。得られた理論計算結果を元に、実験により高選択的同位体分離を実証する。さらに、重元素同位体分離についての適応可能性を理論計算を元に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に高選択的同位体分離を実証するための実験システム構築に使用する。具体的には、多パルス照射用の光学系構築のための光学部品購入や、また、ガスジェット温度を低下させ、また照射レーザー強度を上げても計測が出来るよう、真空チャンバー改造のための真空部品費、改造費として使用する。さらに、研究結果を連携研究者と議論するため、旅費としても使用する予定である。
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