2012 Fiscal Year Annual Research Report
回転コヒーレンスを利用したレーザー同位体分離の原理実証と重元素への実現性評価
Project/Area Number |
23656594
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
赤木 浩 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門 レーザー応用技術研究ユニット, 研究副主幹 (70354818)
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Keywords | 原子分子物理 / 同位体分離 / 分子制御 |
Research Abstract |
前年度に、回転コヒーレンス同位体分離法の原理実証を、窒素分子の同位体混合ガス(14N2と15N2)に対する2パルス照射-イオン化実験によって行った。生成イオンの同位体比が0.85~1.22の間で変化することを明らかにし、本手法で同位体が原理的に分離可能である事を実験的に示した。 本年度は、その選択性向上を目指し、両方の同位体分子の分子整列度を上げるために、以下の2つを行った。①分子整列用の直線偏光・短パルスレーザーの複数回照射、②窒素分子の回転温度を低下させるためのガスジェット条件の最適化。 ①では、14N2の15回転周期と、15N2の14回転周期がほぼ同じ時刻(~125ps)に表れることを利用して、125ps間隔で4パルス、直線偏光・短パルスレーザーを照射した。それにより、1パルス照射のときと比較して選択性が約2倍向上することを明らかにした。②では、混合ガスを希釈する希ガスの種類、混合比、ガス導入用のパルスバルブの動作タイミングなどのパラメターを最適化することで、100K程度の回転温度が20K程度にまで低下し、その結果、選択性が、最適化前の約3倍になることを明らかにした。以上の結果から、①と②を組み合わせることにより、生成イオンの同位体比が、イオン化パルスまでの遅延時間を調整するだけで、0.5~2程度の振幅で変化させることが出来る、と推定できる。 また、実験結果と同じ条件で、時間依存シュレーディンガー方程式を用いた理論計算を行い、得られた実験結果が妥当である事を明らかにした。
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