2011 Fiscal Year Research-status Report
スピン球体への超高密度エネルギー貯蔵技術の開発:フライホールの多軸回転化
Project/Area Number |
23656602
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山田 昇 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (90321976)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | エネルギー貯蔵 / エネルギー変換 / 蓄電システム / 電力平準化 / 再生可能エネルギー / 自然エネルギー |
Research Abstract |
本研究では、新概念の高性能機械式バッテリーの実現を目指し、スピン球体に回転エネルギーを超高密度貯蔵させ、電力変換器を介して充放電を可能とする技術の研究開発を行う。機械支持された球体、あるいは低粘性流体中に浮遊する球体を2軸スピンさせることにより,従来のフライホール(回転円盤)エネルギー貯蔵技術では実現困難なエネルギー密度・入出力密度の達成を狙う。開発は原理検証からはじめ、機械・電気・材料の分野融合的なアプローチにより技術の基礎を固め、ポテンシャルを定量化する。とくにスマートグリッド向けの電力平準化蓄電システムへの適用を想定したデバイスの実現可能性と最適構成を明らかにする。化学式バッテリーに大きく依存する蓄電システムの未来像を変える挑戦的な取り組みである。上記の研究目的を達成するためのマイルストーンを以下のように設定している。(1) 機械支持による2軸スピン球で原理確認。1軸スピンに対する優位性を確認する。(2) 流体浮遊支持(あるいは低損失の機械支持)による2軸スピンで充放電を確認し、2軸スピンメカニズムを探求・確立する。(3) 上記(1)または(2)の結果から、新概念の将来ポテンシャルと超高密度化への技術課題を明らかにする。 当該年度(初年度)では、(1)に着目し、機械支持による球体の2軸スピン機構を提案・試作して実験検証を行った。実験結果より、従来の1軸回転に対して2軸スピンでは2倍のエネルギー貯蔵が可能であることを原理確認できた。さらに、2軸スピンでの貯蔵理論・流体/熱/応力解析等にも着手できた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、研究目的を達成するためのマイルストーンを以下のように設定している。(1) 機械支持による2軸スピン球で原理確認。1軸スピンに対する優位性を確認する。(2) 流体浮遊支持(あるいは低損失の機械支持)による2軸スピンで充放電を確認し、2軸スピンメカニズムを探求・確立する。(3) 上記(1)または(2)の結果から、新概念の将来ポテンシャルと超高密度化への技術課題を明らかにする。このうち、当該年度(初年度)は(1)の達成が目標であったため、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目はマイルストーン(2)と(3)の達成を狙う。初年度で行った機械支持による2軸スピンモデルを改良し、より低損失な2軸スピンモデル構築に挑戦する。流体浮遊保持による機構も検討する。また、これに適するシステム構成とスピン球の材料・構造を設計試作する。極力レアアースフリーを目指し、磁性材料にはフェライト磁石などを用いる構造も検討する。高速スピンを達成するために、Al合金、Mg合金、Ti合金などの先端軽金属材料の使用も検討し、焼結・フォーム技術による磁性材料粉末との混合・磁性配置法についても検討する。最終的に、実現可能性が高い仕様を決定し、より本格的な実験モデルを製作し、実験を行う。これらの実験結果に加えて、1年度目から継続した貯蔵理論・流体/熱/応力解析等を統合してシステム性能予測モデルを構築し、性能予測手法を確立する。これを用いてスマートグリッド向けの蓄電システムに対する実現性を定量化する。実験・解析・考察・反映を繰り返し、マイルストーン(3)を達成したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2年度目はマイルストーン(2)と(3)の達成を狙うために、より低損失な2軸スピン機構を設計し、試作試験による検証を行う予定である。この2軸スピン機構の試作のための物品費に約120万円の使用を予定している。また、2軸スピン機構の参考となる多自由度アクチュエータ関係の情報収集および関連学会などでの情報収集の旅費として10万円、実験補助を行う学生謝金として15万円、成果論文の掲載費として5万円程度の使用を予定している。
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Research Products
(1 results)