2013 Fiscal Year Annual Research Report
水分解用色素修飾光触媒のためのアンテナ色素を模倣した色素複合体の創製
Project/Area Number |
23656606
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
萩原 英久 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30574793)
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Keywords | 水の光分解反応 / 色素修飾 / ポルフィリン / 電荷移動 |
Research Abstract |
従来の研究で、水の光分解活性を示すGaN:ZnOをポルフィリン系色素で表面修飾すると、活性が向上することを見出した。本研究では修飾色素を複合して用いることで、太陽光下で効率よく水を分解する光触媒を開発することを目的とし、修飾色素や無機半導体の探索を中心に、水の光分解活性の向上について検討した。 今年度は、これまでの研究で見出した水分解活性に与える修飾色素の複合効果について、その発現機構を中心に検討した。まず、KTaO3系光触媒において活性の向上効果を示したCr-TPPClとZn-TPPダイマーの組み合わせについて、色素薄膜を調製し、電気電導度を測定した。その結果、Cr-TPPClやZn-TPPダイマーの薄膜よりも、これらの色素を組み合わせた色素薄膜の方が高い電気伝導度を示すことがわかった。この系では色素を複合することでポルフィリンの中心金属のクロムと亜鉛の電子状態が変化しており、電気伝導度の向上に影響を与えていることが考えられる。さらに、色素を複合して修飾することでKTaO3の電荷分離状態は長寿命化したことから、色素の複合により反応サイトである助触媒へ到達する励起電子・正孔が増加し、水分解反応が促進されたためにKTaO3の水の光分解活性が向上したと考えられる。さらに、GaN:ZnO光触媒の水分解活性の向上に有効な修飾色素の組み合わせであるCr-TPPClとコロネンの系についても複合効果を検討したところ、KTaO3の系と同様の傾向が示されたことから、複合することで電気伝導度が向上する修飾色素の組み合わせが水分解活性の向上にも適していることが明らかとなった。 以上より、修飾色素の複合は色素修飾光触媒の水分解活性の向上に有効であり、特に色素凝集体中の電気伝導度が向上するような色素の組み合わせが水分解活性の向上に効果的であることを見出した。
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