2011 Fiscal Year Research-status Report
太陽光エネルギーを用いて水から水素を発生させるナノ分子ワイヤーシステムの構築
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23656608
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
青田 浩幸 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (50247897)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 太陽エネルギー / 人工光合成 / 分子ワイヤー / 共役系高分子 / 水素 |
Research Abstract |
太陽光を利用して水から水素を発生させるには光誘起電子移動反応により電荷分離状態を達成し、次の化学反応系へ利用する必要がある。ここで最大の問題点はこの電荷分離状態から非常に起こりやすい逆電子移動反応をいかに抑制するかである。申請者の研究が世界で独創的なことは高速電子移動可能な高分子ワイヤーの合成にすでに着手していた点であった。本年度はこの高分子ワイヤーを用いて1、相間光誘起電子移動可能なABブロック両親媒性飛石型共役系高分子の合成、2、ミセル界面に両親媒性飛石型共役系ポリマーを配置する条件検討、3、遠距離高速相間光誘起電子移動の検討に着手した。1、相間光誘起電子移動可能なABブロック両親媒性飛石型共役系高分子の合成については2種類の方法を試みた。一つ目は親水性ポリマーと疎水性ポリマーを別々に合成し、両者を結合させる方法である。ここで両親媒性を有するには親水性、疎水性とも分子量6000程度(20量体程度)で合成したものが、2のミセル界面に両親媒性飛石型共役系ポリマーを配置する条件を満たすことが確認できた。また、構造制御したポリマーを合成するための連続滴下法も試みたところ、両親媒性ポリマーが合成できそうなことを見出した。現在も反応条件を検討中である。また、3、遠距離高速相間光誘起電子移動の検討を行うためにフェムト秒レーザーを用いた過渡吸収測定装置の開発及び光カーシャッターを利用した高速時間分解蛍光スペクトル測定装置の開発を行い、現在、1psの時間分解能で測定するための最終調整に入っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分子の合成条件についてはかなりわかってきた。レーザーを用いた測定装置の開発も少し遅れているが、完成に近づいている。
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Strategy for Future Research Activity |
高分子の合成条件の確立と、ミセル界面に存在させる方法の確立を行うとともに、レーザー測定装置の最終調整を行い、高速時間分解測定を行っていく。これらの条件が整い次第、本研究の最大の特徴である第二ドナーや第二アクセプターの共存下での電荷分離状態について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究で最も必要な費用は1試薬、2ガラス器具、3レーザーの消耗品である。全て消耗品の範疇に入るものである。また、旅費は光化学討論会参加発表分(東京工業大学)を、謝金としては論文の校正にかかる費用を見込んでいる。
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