2012 Fiscal Year Annual Research Report
イネ転移因子mPingの爆発的転移に起因するヘテロシスの解析
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23657006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
築山 拓司 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00423004)
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Keywords | 転移因子 / ヘテロシス / ゲノム / 遺伝学 / 育種学 |
Research Abstract |
申請者はこれまでの研究から、活性型トランスポゾンmPingが活発に転移しているイネ細粒突然変異系統IM294の正常粒への復帰突然変異に伴って出現した強勢変異体(M1)(以下、VGI (Vigorous Growing IM294))ではmPingが爆発的に転移していることを明らかにした。 本年度は、まず、通常栽培条件下におけるVGIの後代M3系統の農業形質を調査した。通常、ヘテロシスは世代を経ることで強勢形質が減少する。しかし、強勢形質を示したM2系統由来のM3系統において、強勢形質が個体間でばらつく系統はあったものの、全ての個体で減少した系統はなかった。このことから、VGI系統の強勢形質は、ヘテロシスではなく、mPingの爆発的転移によるゲノムの改変に起因すると考えられた。 次いで、VGIにおけるmPing挿入位置を次世代シーケンサー(NGS)を用いて網羅的に解析した。VGIの後代M2系統10個体およびVGIと同一の親個体に由来するIM294 6個体(以下、SiB)から個体別にDNAを抽出し、mPing特異的プライマーを用いてトランスポゾンディスプレイ(TD)産物を得た。それらTD産物をNGSに供試したところ、平均リード長138.3bp、1,596,829リードの解析データが得られた。得られたリードデータを日本晴ゲノム配列にマッピングし、VGIおよびSiBの計16個体において、1,384のmPing挿入箇所を同定した。VGI特異的な挿入は517箇所あり、これらのうち、10個体中6個体以上で共通に検出された挿入は35箇所であった。これら35箇所のうち、遺伝子コード領域への挿入は8箇所であった。このことから、これらmPing挿入を有する遺伝子が強勢形質の発現に関与しているのではないかと考えられた。
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