2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞分化スイッチ機構を担うSOX-パートナー因子複合体のゲノム標的認識
Project/Area Number |
23657007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 寿人 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (70127083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蒲池 雄介 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (90263334)
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Keywords | 発現制御 / 遺伝子 / ゲノム / 細胞分化 / 転写因子 |
Research Abstract |
細胞分化は、複数の転写制御因子がつくる複合体がスイッチ機能を果たすことによって進行する。これらの複合体が結合するDNA配列は、個々の因子が単独で結合する配列の和ではなく、複合体に固有のものである。しかし、転写因子複合体のDNA結合配列を体系的かつ網羅的に研究した例はなかった。 そこで、SOX2,PAX6を中心とした次の研究を計画した。(1) 転写制御因子SOX2と、PAX6やPAX2がつくる複合体のin vitroでのDNA結合配列を網羅的に集めて分類し、(2) それらの配列群への転写制御因子複合体の結合、ならびにそれらの配列群のエンハンサーとしての機能を評価し、そして (3) それらの配列群のゲノム中での分布とin vivoでの機能評価をおこなう。 (1)非RI EMSA-SELEXという新しい方法による、PAX6単独、PAX2単独、SOX2-PAX6複合体、SOX2-PAX2複合体の各々の結合配列のアンサンブルを分類した。その結果、SOX2-PAX6複合体、SOX2-PAX2複合体による結合配列は、SOX2の結合を担うHMG domainの結合配列とPaired domainの結合配列の複合になっていた。Paired domainの結合配列の周辺領域で、PAX6、PAX2との間で違いが認められた。この違いが、SOX2-PAX6複合体、SOX2-PAX2複合体の制御標的の違いを生み出している可能性がある。 (2)古典的なSOX2-PAX6複合体の結合配列であるDC5配列を用いて、SOX2とPAX6の結合によってDNAがどのように変形するのかを解析した。両因子の結合によって、大きなDNA屈曲が導かれることがわかった。 (3)(1)の実験で見いだしたSOX2-PAX6複合体のin vitroの結合配列と、in vivoの結合配列との対応を明らかにするために、in vivo結合配列を網羅的に明らかにするためのChIP-seq解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
転写因子複合体に固有の認識DNA配列を、in vitroの場合とin vivoの場合とを体系的に多数集めて比較するという研究目的、そして、in vitro, in vivo いずれの場合に関しても、この研究において新しい技術を開発して、それを用いて研究成果を得るという目標は、大枠において達成されようとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
ビオチン化転写因子を用いたChIP-Seq解析を展開して、研究を完結したい。また、平成26年度に、個々の素研究を統合する作業を実施したい。これによって、複数の転写制御因子が果たすスイッチ機構の分子基盤の理解が大きく進展するであろう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度末までに、ビオチン化転写因子を用いたChIP-Seq解析のための新しい技術の開発を完了し、平成25年度には、その技術を用いた研究を展開する計画であった。しかし、技術の完成に予想を上回る期間を要して、平成26年1月に、ようやくすべての点で技術の完成をみた。 平成26年度において、ChIP-Seq解析を重点的に実施し、未使用額の多くはその経費にあてることとしたい。平成26年度にはまた、その経費によって、個々の素研究を統合する作業を実施したい。
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Research Products
(2 results)