2011 Fiscal Year Research-status Report
光学新技術による海底の炭素貯留過程の評価:海草の地下部生産と分解の非破壊測定
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23657011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仲岡 雅裕 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (90260520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 加里部 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 特任助教 (10456824)
中路 達郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (40391130)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 光学センサー / アマモ場 / 炭素吸収能 / 細根生産量 / 有機物分解 |
Research Abstract |
本研究では、陸域生態系の研究で近年発展した光学的な生態系測定法を沿岸生態系の主要な構成要素であるアマモ場に適用することにより、海草類の地下部の生産量・分解量を正確に評価する方法を確立することを目的とする。本年度は下記の項目について研究を実施した (1)光学スキャナーを用いた海草の地下部の生産量・枯死量を評価方法の開発:厚岸湾および厚岸湖のアマモについて野外における地下部の形態および量を比較するとともに、採集した個体を屋内および野外の流水水槽施設で飼育培養し、地下茎および根の現存量および成長量の光学的測定法を検討した。野外調査の結果、アマモの地下茎・根の量は底質により大きく異なることが判明した。また、光学的な測定法は、水槽の形状および使用する底質の種類により大きな誤差が生じることが判明した。 (2)近赤外カメラを用いた堆積物の分解プロセスの測定法を開発:上記と同様の飼育培養実験系において、アマモ地下部の枯死後の分解過程を追跡するために、可視-近赤外ハイパースペクトルカメラで撮影を行った。その後、撮影をした水槽の底質を採集し、撮影部位ごとの元素成分の測定を行った。その結果、アマモ地下部の枯死量の季節変化・空間変異に応じて異なる画像が撮影され、分解過程を評価するための光学的指標の作成が可能であることが判明した。底質の化学成分についての計測は継続中であるが、特に炭素量については地下部に空間的な不均一性があり、その変化速度が季節により大きく異なることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アマモ地下部の成長および分解過程の定量法の開発について、厚岸湖と厚岸湾の比較により、対照的なデータを得ることができることの見通しが立った。また近赤外カメラを用いた分解率の測定法の開発についても立案段階での調査計画がおおむね利用できることが判明した。一方、アマモの培養実験については、秋季から冬季については成長率及び死亡率が高いため、光学スキャナーを用いた根の成長量の測定法の開発においては、十分な結果が得られなかったので、次年度のアマモ成長期(春季~夏季)における集中的な調査・実験の必要性があることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したように地下部の成長量・生産量の測定においては、今年度の水槽実験ではアマモの非成長期であったため、十分なデータを得ることができなかった。そこで、本種の成長期である春から夏(5月~9月ごろ)にかけて長期的かつ集中的な野外観測および水槽実験を実施し、測定法を確立する。一方、分解率の評価については、本年度に確立した方法を用いた測定を継続し、最終的な成果の導出にあたる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
野外観測および飼育培養実験を実施するために必要な観測実験機器作成のための消耗品代、共同研究者の調査地までの交通費、共同研究者が保有する観測機器の輸送のための宅配便費および野外調査・飼育培養実験を補助する短期支援職員もしくは技術補助員の謝金を計上する。 経費の節減の結果生じた使用残については、消耗品代のうち、特に、光学スキャナーによる地下部撮影のための効率的な観測測器作成のために使用する。また、飼育培養実験を初年度計画より長期にわたり実施することに伴い延長される短期支援職員(もしくは技術補助員)の謝金の一部として使用する。
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