2012 Fiscal Year Annual Research Report
光学新技術による海底の炭素貯留過程の評価:海草の地下部生産と分解の非破壊測定
Project/Area Number |
23657011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仲岡 雅裕 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (90260520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 加里部 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (10456824)
中路 達郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (40391130)
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Keywords | 光学センサー / アマモ場 / 炭素吸収能 / 細根生産量 / 有機物分解 |
Research Abstract |
本研究では、陸域生態系の研究で発展した光学的な生態系測定法を沿岸域のアマモ場に適用することにより、海草類の地下部の生産量・分解量を評価する方法を確立することを目的とする。本年度はアマモ細根の動態を季節を通じて連続調査し、さらに植物器官ごとの反射スペクトルの測定を行うことで、根の成分や齢と光学情報の関係性を明らかにした。 (1)細根動態と生物量:細根の季節的な動態変化を解明するために、アマモを流水水槽施設で育成し、その成長量や炭素量を定期的に計測した。根圏のカラー画像を水槽内の育成ケース越しに2~4週間隔で撮影し、根長変化を計測した。その結果、根の生産は生育期の7月~8月に集中し、9月以降はほとんど生産されなかった。前年の結果を考慮すると根の多くは冬から翌春の間に枯死することが示唆された。細根の生物量は全体の3%程度であり比率は高くなかったが、地下茎を含むと14%程度あり、炭素シンクとしての寄与は無視できない。特に底質中の炭素量の偏在性はアマモ根圏の発達程度と関連していることが示唆された。 (2)分光画像による分解・発達過程の評価:異なる日齢(約14~220日)および生死過程のアマモの根および地下茎を対象に可視~近赤外波長の分光画像を撮影したところ、根のエイジングは可視波長~近赤外波長間の反射率差を増大させること、枯死は反射率を全体的に低下させることが明らかになった。炭素含有量は生組織でほぼ一定だったが、窒素は若い根で含有量が多い傾向にあった。PLS回帰により分光反射率から根の齢、炭素、窒素量の推定を試みたところ、12~37%の誤差範囲でこれらの項目が推定可能となった。以上のことから、アマモの根の成長や動態は明確な季節性をもち、ブルーカーボンとしての寄与を持つこと、そのエイジや炭素、窒素バランスの変化が分光反射率によって非破壊推定できることが海草において初めて明らかになった。
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