2012 Fiscal Year Annual Research Report
好塩性アーキアがG+C含量の異なるリボソームRNAを使い分ける可能性の追究
Project/Area Number |
23657016
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
木村 浩之 静岡大学, 理学部, 講師 (30377717)
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Keywords | 微生物 / 生態 / 極限環境 / 好塩菌 / アーキア / 16S rRNA / GC含量 / 微生物分子温度計 |
Research Abstract |
Haloarculaは、昼夜で激しく温度が変動する砂漠の塩湖から単離された好塩性アーキアであり、ゲノム上に2-3個の塩基配列の異なる16S rRNA遺伝子を持つことが報告されている。特に、これらの遺伝子の塩基配列にはグアニン+シトシンの割合(G+C含量)に差が見られる。一般的に、好熱菌や超好熱菌は高いG+C含量の16S rRNAを持つ。一方、中温菌や好冷菌は低いG+C含量の16S rRNAを有する。このような16S rRNAのG+C含量の特徴から、Haloarculaは高温時には高いG+C含量の16S rRNAを発現させ、低温時には低いG+C含量の16S rRNAを発現させるという仮説を立てるに至った。 本研究課題では、Haloarculaに属する5菌株の16S rRNA遺伝子の塩基配列を決定し、16S rRNA遺伝子のG+C含量から生育温度を推定した。次に、15-60℃の温度条件において菌株の培養を試み、各温度での増殖速度とゲノム上のそれぞれの16S rRNA遺伝子の発現パターンを解析した。 その結果、Haloarcula 5菌株の16S rRNA遺伝子のG+C含量は、高いG+C含量のもので57.2-58.9%、低いG+C含量のもので56.4-56.6%と、16S rRNAのG+C含量に有意な差があることが示された。また、これらの菌株の至適生育温度は高いG+C含量の16S rRNA遺伝子から43.5-51.6℃、低いG+C含量の16S rRNAから39.5-40.9℃と推定された。さらに、15-60℃まで増殖速度を測定した結果、増殖速度の最高値を示す至適生育温度が複数の温度帯で見られた。加えて、定量RT-PCR解析より、30℃付近での培養では低いG+C含量の16S rRNAが多く発現し、50℃付近での培養では高いG+C含量の16S rRNAが多く発現する傾向が示された。
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