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2011 Fiscal Year Research-status Report

放射性炭素分析法を用いた樹木の結実豊凶と資源貯蔵との関係性の解明

Research Project

Project/Area Number 23657022
Research InstitutionKochi University

Principal Investigator

市榮 智明  高知大学, 自然科学系, 准教授 (80403872)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 陀安 一郎  京都大学, 生態学研究センター, 准教授 (80353449)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords国際交流者交流 / マレーシア / 種子生産 / 炭水化物 / 結実豊凶 / 放射性炭素 / メカニズム / 資源収支モデル
Research Abstract

多くの樹木の種子生産は、年毎に大きく変動し広範囲に同調する。このような繁殖様式をマスティングと呼ぶ。マスティングのメカニズムを説明する仮説として、最も有力視されているのが「資源収支モデル」である。これは、種子生産に豊凶のある樹種は、豊作年の開花や結実に必要な資源量が多く、またその資源の蓄積に時間がかかるために、種子生産に年変動が生まれるというものである。マスティングを制限する貯蔵資源としては、これまで樹体内の炭水化物の蓄積量が注目されてきた。しかし、マスティングを行う樹木は、種子生産に対して本当に長期間の炭水化物蓄積を必要としているのだろうか?この研究では、戦後の14C濃度の急激な変化を利用して、様々な樹木種子に含まれる炭素の構成年代と繁殖周期との関係を調べ、種子生産に対する貯蔵炭水化物の貢献度について検証を行った。具体的には、茨城県小川群落保護林の6haプロット内に生育し、繁殖周期の異なる落葉広葉樹12種について、1989年から1995年に採取された各樹種の種子を用いて、種子を構成する炭素の同化年代を調べた。そして、実際の種子生産年との差引きから、種子生産に利用される炭素の蓄積に必要な期間を特定し、それと繁殖周期との関係について解析を行った。その結果、調査した落葉広葉樹12種は、繁殖周期に関係なく、いずれの樹種も種子中の⊿14Cは種子採取年と同じ、つまり主として当年の光合成資源を使って種子生産を行っていることがわかった。繁殖周期が長く、豊凶の度合いの高い樹種でも豊作年の種子生産に対する貯蔵炭水化物の貢献度が低いことから、マスティングを制限する貯蔵資源やその役割について再考の必要があると言える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成23年度の計画に掲げていた、国内の樹木種子に含まれる放射性炭素濃度と各樹種の繁殖頻度との関係について、予定通りに実験を遂行し、明瞭な結果を得ることができた。

Strategy for Future Research Activity

昨年度の交付申請書に記載した通り、今後は熱帯を含めた海外種子についても、今年度と同様の研究を進めることにより、森林タイプ間での樹木種子の炭水化物利用の違いについて明らかにする。また、期間内に明らかになった結果について、随時学術論文にまとめて投稿していく予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成23年度から研究費の繰越を行った。これは、平成23年度に予定していた外部機関への分析委託を平成24年度に持ち越して行うため、その予算としての繰越である。平成24年度は、下記の2つのテーマを設定して研究を行っていく。1.熱帯・亜寒帯を中心とした木本種の種子の入手・分析平成23年度に入手・分析した国内産の種子に加え、アジアの熱帯雨林(マレーシア・サラワク森林局)の20-30種程度の木本種子及び高木性のパイオニア植物の葉を入手し、14C年代の分析を行う。また、南米の熱帯雨林の樹木種子(パナマ・スミソニアン熱帯林研究所)の入手についても、可能な範囲で交渉を進めていく。前年の国内の研究結果とあわせて解析を行うことで、植生タイプや樹種、大陸間での繁殖投資戦略の違いをより高い精度で検証することができる。2.分析結果の解析と成果の公表調査・分析を行った国内外の全ての樹種について、種子を構成する炭素の同化年代と実際の結実年との差引きから、種子生産に利用された炭素の平均年数を推定する。そして、各樹種の繁殖周期(または種子生産の年変動係数)を調べ、種子の繁殖間隔と貯蔵炭水化物の関係を明らかにする。各樹種の繁殖周期の推定には、国内外で行われている長期生態研究の繁殖量調査データや、過去に報告された文献の情報を利用する。また、全データを総合して、樹種や植生タイプ、大陸間での樹木の繁殖投資戦略の違いについて投稿論文にまとめていきたい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Dynamics of mineral nutrient storage for mast reproduction in the tropical emergent tree, Dryobalanops aromatica.2012

    • Author(s)
      Tomoaki Ichie & Michiko Nakagawa
    • Journal Title

      Ecological Research

      Volume: in press Pages: in press

    • DOI

      DOI 10.1007/s11284-011-0836-1

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 森林伐採からの回復過程における低木層クモ群集の変化2012

    • Author(s)
      原口 岳・陀安一郎
    • Organizer
      第123回日本森林学会大会
    • Place of Presentation
      宇都宮大学
    • Year and Date
      2012年3月27日
  • [Presentation] Food web analyses using C and N stable isotopes: spiders shift their prey from aboveground to belowground origin through secondary succession.2012

    • Author(s)
      Haraguchi, T.F. & Tayasu, I.
    • Organizer
      日本生態学会第59回大会, 第5回東アジア生態学会連合大会 (EAFES5)
    • Place of Presentation
      大津
    • Year and Date
      2012年3月19日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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