2012 Fiscal Year Research-status Report
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23657032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鹿内 利治 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70273852)
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Keywords | 葉緑体 / 光合成 / PPR / RNA / 翻訳 |
Research Abstract |
PGR3は27のPPRモチーフから成るタンパク質で、1)petLオペロンRNAの安定化、2)petLの翻訳、3)ndhAの翻訳の3つの機能に関わる。我々は、PPRモチーフの4番目のスレオニンをイソロイシンに置換することで、タンパク質全体の安定性を損なうことなく特定のPPRに機能を破壊できることを明らかにしている。そこでこの変異をそれぞれのPPRに導入し、各PPRの機能を特定した。その結果、N末の16のPPRモチーフがpetLとndhA mRNAの5’UTRへの結合に必須で、それぞれのRNAの認識に必要なPPRを特定した。またC末の11のPPRは、RNAの認識、結合ではなく、翻訳活性化に必要であることを明らかにした。連続したPPRタンパクミチーフを機能ドメインに分けた報告は初めてのものである。 本年度は、論文発表に必要なデータを集めると同時に、PPRモチーフの14番目のアミノ酸が、そのPPRモチーフの機能の強さを決めることを明らかにした。PPRタンパク質ではすべてのモチーフが均一な機能の強さを持つ訳ではなく、この調節により、配列認識の多様性がもたらされると考えられる。この発見は、バイオインフォマティクスによる予測を逆遺伝学で証明したものであり、アプローチとして斬新であるばかりでなく、発見そのものも極めて重要である。 以上の成果をまとめて論文に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、RNA編集におけるPPRタンパク質のC末の領域の機能解析を相互作用タンパク質の特定を中心に提案した。しかし、研究開始時には、PPRタンパク質のC末領域はRNAの構造を変えることに働き、そこにRNAの修飾に関わるタンパク質を呼び込むのはRNAの二次構造の変化であることを示唆するデータが出てきた。そこで我々がC末が翻訳に関わることを明らかにしているPGR3タンパク質に焦点を絞り、計画を一部変更した。実際、PGR3のC末で翻訳に関わる領域は11のPPRモチーフから成り、そのRNAの結合能を変えると、標的RNAとの結合は影響を受けないが、翻訳が阻害されることを明らかにした。この結果は、我々の修正モデルが正しいことを示唆している。成果を投稿したが、若干のデータの追加を要求され、次年度も研究を継続する必要がある。また、PGR3のC末がRNAの二次構造の変化を引き起こすことの直接的な証明と、それによってリクルートされるタンパク質の同定は、今後の研究の課題として残された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度に示したように、PGR3のC末がRNAの二次構造を変えることの直接的な証明には至っていない。我々の戦略は、逆遺伝学を用いたin vivo での評価であるが、その目的には、in vitroでの実験系を立ち上げる必要がある。またRNAの二次構造を認識するタンパク質の同定は、PPRタンパク質の研究の枠を超えており、共同研究も視野に入れて、将来的に取り組みたい
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究実績の概要に記した成果を論文に投稿した。おおむね高い評価であったが、in vitro実験を補足することを求められた。それを含め、若干の研究を継続と最終的な論文発表のため一部予算を繰り越した
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Research Products
(5 results)