2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23657035
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高木 慎吾 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10192626)
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Keywords | 細胞間隙二酸化炭素濃度 / シロイヌナズナ / 二酸化炭素 / 背腹性 / 葉肉細胞 / 葉緑体 |
Research Abstract |
孔辺細胞外への陰イオン流出に必須の役割を果たすSLAC1の欠損により、暗黒でも気孔が閉じにくいシロイヌナズナ遺伝子破壊株slac1を用いて、細胞間隙のCO2濃度が葉緑体の分布パターンに与える影響を解析した。分布の傾向として、背軸側か向軸側か(発生制御下)、上下面か側面か(光制御下)、細胞間隙に沿うか隣の細胞に沿うか(CO2濃度制御下と予想)の3つのパラメータを設定した。 まず、外気CO2濃度を45 ppmもしくは1000 ppmに設定して植物を暗処理した。野生株では、3つのパラメータについて異なるCO2濃度での違いはなく、背軸側に分布する傾向は向軸側に対して3倍高く(= 葉緑体の暗黒位)、上下面と側面には均等に分布し、細胞間隙に沿う傾向は細胞に対して2倍高かった。これに対して1000 ppm CO2で暗処理したslac1では、背軸側に分布する傾向が有意に低くなり、細胞間隙に沿う傾向が有意に高くなった。主に発生学的要因(葉の背腹性)に依存する暗黒位の決定にCO2濃度が干渉する可能性が示された。 次に、外気CO2濃度を400 ppmもしくは1000 ppmに設定して青色光を照射した。野生株では1000 ppm CO2で背軸側に分布する傾向がより高くなり、slac1では1000 ppm CO2で細胞間隙に沿う傾向がより低く、上下面に分布する傾向がより高くなった。光照射下でも発生学的要因とCO2濃度とが干渉すること、葉緑体の受光量の調節がCO2濃度の影響を受けることなどが示唆された。 葉緑体の分布パターンに対するCO2の効果を定量的に解析するため、葉緑体運動に関する機能をできるだけ損なわないように、細胞壁分解酵素の副作用を最小限に抑えて調製した葉肉細胞プロトプラストをゲルに埋め、ゲルの片側に炭酸水素カリウム溶液、反対側にCO2消費溶液を置き、CO2勾配を作る実験系を構築した。
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Research Products
(9 results)