2014 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナ胚の簡単な培養系の確立と新規胚誘導因子の解析
Project/Area Number |
23657036
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高田 忍 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40456992)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 不定胚 / 表皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 本研究では、簡単な不定胚の誘導系の作成法を確立し、経時的な観察やレーザーによる細胞破壊実験を容易にすることを目指した。LEC1やLEC2を過剰発現すると子葉の表面から胚を誘導できるという報告は既にあったが、これらの過剰発現体で作られる胚は融合して発生するため、そのまま実験に使用するのは難しい。そこで、1細胞で発現するメリステモイド特異的なプロモーターでLEC2を誘導できる形質転換体を作成した。この形質転換体でも子葉の表面から不定胚を誘導できたが、融合して発生する不定胚の頻度が高かった。そこで、本年度は、vortexによる激しい撹拌や、震盪培養、セルラーゼ処理等で細胞を遊離させてから不定胚の誘導を試みた。種々の方法を試したが、多くの細胞は途中で死んでしまい、寒天培地上で胚発生の進行を観察するまでには至っていない。
2) 表皮は植物の胚発生で最初に分化する組織であり、表皮形成が異常となる変異体では胚発生の進行が停止する。しかしながら、表皮分化と胚発生の進行との直接の関わりは分かっていなかった。我々は、地上部の表皮分化を促進するマスター制御遺伝子を過剰発現することで、側根原基から緑色の組織が生じることを示した。これらの組織はSudan Redによって強く染色され、培養を続けると新しい葉や根を作った。また、本年度におこなった定量的なRT-PCR解析の結果、表皮のマスター制御遺伝子の誘導後の根で、LEC1、LEC2、FUS3など、胚発生の進行に重要な遺伝子の発現が上昇することが分かった。これらのことから、表皮分化(または表皮分化のマスター制御因子)は、胚発生の進行に必要なだけでなく、胚発生の進行に積極的な役割を持つことが示唆された。
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Research Products
(5 results)