2011 Fiscal Year Research-status Report
生体観察のためのホログラフィック4次元顕微鏡の開発
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23657050
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
佐藤 邦弘 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (40167432)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | デジタルホログラフィ / 3次元顕微鏡 / レンズレス / 無歪高分解能 / 水中観察 / 大深度 / 微生物 / 生体細胞 |
Research Abstract |
本年度研究の第1の目的は、レーザとイメージセンサを用いて微小運動被写体の3次元像を記録する装置を開発し、3次元像の連続撮影の可能性を示すことである。まず、ワンショットホログラフィを使って媒質中の高分解能3次元観察を可能するレンズレスのホログラフィック顕微鏡を開発した。この顕微鏡を使うことで、大開口数オフアクシスホログラムをワンショット記録し、1枚の記録ホログラムから複素インラインホログラムを取り出すことが可能になった。本年度研究の第2の目的は、大開口数ホログラムから無歪高分解能3次元画像を高速再生する数値計算法を開発することである。平面波展開を使った高分解能画像の再生方法に関して、カナダの研究グループは最近米国特許を取得しているが、彼らの方法では計算量が多くなり画像再生の高速化は難しい。それに比べて我々の開発した方法は簡潔であり必要な計算量は少なくなり、画像再生の大幅な高速化を図ることが可能になった。本年度研究の第3の目的は、水中や培養液中の微生物や生体組織の3次元撮像および像再生の実験を行い、生きたままの状態で4次元(空間+時間)顕微鏡観察が可能であることを示すことである。光学実験を行い、無歪高分解能(1μm以下)画像,焦点深度の1000倍以上の撮像深度の水中遊泳微生物の画像,および物体光位相分布の正確な記録と再生を示した。この顕微鏡を使用して透明生体細胞の4次元計測や水中遊泳微生物の無歪高分解能4次元観察などが可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画に従って(1)透過型ホログラフィック顕微鏡の開発、(2)無歪高分解能3次元像の高速再生法の開発、(3)透明生体細胞の観察のため光位相分布を使った定量的解析について研究を行い、それぞれについて新しい研究成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
生体組織の高分解能断層画像撮影法の開発本研究のホログラフィック顕微鏡を用いれば、レーザ光波長を高速掃引しながら連続高速記録したホログラムから3次元物体の高分解能断層画像を求めることが原理的に可能になる。この撮像では、結像レンズを使用しないので深い奥行きを持つ生体に対して高分解能な断層画像を計算でき、レーザ光の機械的な走査が不要となるので時系列断層画像の高速撮影が可能となる。このことにより、革新的な高分解能断層撮像装置の開発を期待できる。本研究の成果の最も重要な応用として、この高分解能断層撮像装置の開発が挙げられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用する研究費として、ホログラム記録実験のための光学部品(ミラーやレンズなど)を新たに購入するための物品費、国内及び海外における研究成果発表のための旅費と参加費、および研究補助に対する謝金を計画している。
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