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2011 Fiscal Year Research-status Report

南極地域由来新奇微生物の同定とその機能解析

Research Project

Project/Area Number 23657068
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

福田 青郎  立命館大学, 生命科学部, 助教 (30421283)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords南極 / 微生物分類 / 新種 / 細菌
Research Abstract

本研究は南極に住む微生物についてその新奇な性質を明らかにすること及び、新分類群の提案を目的としている。 南極にある淡水湖・長池由来サンプルより単離された、栄養源の豊富な培地では生育できない、突起状の構造物を発生する微生物(120-1株)の生理学的・生化学的特性について詳細な解析を行った。その結果、新属・新種細菌Rhodoligotrophos appendicifer(突起をもった赤い貧栄養生物の意味)として学術雑誌に発表した。また本菌は光独立の生育は示さないが、ゲノム解析では炭酸固定回路・カルビン回路や、バクテリオクロロフィルa生合成系等、光合成に必要な遺伝子のほとんどを有していた。その他に、ゲノムの構造に関する研究も行った。 一方南極たなご池由来サンプルより単離された、プロテアーゼやリゾチーム等様々な分解酵素生産菌Lysobacter sp. 107-E2株について諸性質を解析したところ、本菌は-5℃という低温環境で固体培地上にコロニーを形成すること等が明らかとなった。また本菌は培養後期(定常期)において黒色色素を生産するが、その色素が水溶性メラニンであることが予想された。 南極で採取された岩石より単離された、培養条件や生育段階依存的に形態が変化する細菌262-7株について細胞膜脂質の組成などの諸性質を解析した。また次世代シーケンサーを用いて本菌のゲノム解析を行なった。その結果ゲノム全長の解読にはいたらなかったが、糖新生系やTCAサイクル等の遺伝子に加え、バクテリオクロロフィルa生合成系遺伝子のほとんどがゲノム上に見出された。しかしRubisCO等カルビン回路関連の遺伝子は見出されなかった。また262-7株の触手状突起は液体培養の時期が進むほど伸長する。そこで培養初期および培養後期の菌体膜画分について比較したところ、培養後期で増加するタンパク質の存在が示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成23年度では、突起物を持つ赤色細菌120-1株について生理学的・生化学的特性について詳細な解析を行い、新属・新種細菌として学術雑誌に発表した。本菌のゲノムに関して塩基配列の解読はH23年度以前に終了していたが、平成23年度はその内容に関しての解析が進んだ。 また種々の分解酵素を生産するLysobacter sp. 107-E2株に関しても特性解析を進めた。その結果、生育条件の解析や、脂肪酸組成や極性期の分析など、新種提案に必要とされる解析のほとんどを平成23年度で終了することができた。特に固体培地上で、-5℃という低温環境でコロニーを形成することは非常に興味深い。以上の結果をまとめ、平成24年度にて新種として学術雑誌への発表を行う。以上のように新属または新種の提案を目的とする研究に関しては、順調に進んでいると言える。 平成23年度では培養条件や生育段階依存的に形態が変化する細菌、262-7株に関して、新属・新種細菌として発表すべく、種々の解析を進めた。本菌はMultimanifer polymorphus(多形の多くの手をもつものの意味)の名で新属・新種細菌として学術雑誌に投稿予定である。また予定通り次世代シーケンサーを用いて本菌の全ゲノム解析を行なった所、全長の解読にはいたらなかったが、ゲノムの大部分は解析できた。今後従来のDNAシーケンサーを用いて解読を進める必要がある。しかし解析できた部分で、微生物の細胞骨格たんぱく質をコードするmreBなどの遺伝子ホモログも発見されており、触手状突起の解析には十分でもある。またM. polymorphus 262-7株の培養初期および培養後期の菌体膜画分について比較したところ、培養後期で増加するタンパク質が見られた。予定では本タンパクの解析は平成23年度に終了しているはずであったが、この部分は進行が遅れている。

Strategy for Future Research Activity

今後は262-7株ゲノムのうち、次世代シーケンサー解析では解析できなかった部分について従来のDNAシーケンサーを用いて解読を進めるとともに、ゲノム上に存在する遺伝子の種類について解析を進める。また同時に120-1株、および262-7株の触手状突起の正体について証拠を得るために、触手状突起生産に関係する解析を試みる。その後、遺伝子操作系の構築にとりかかるマーカー遺伝子の選定と、遺伝子を細胞内に入れる方法の発見が重要となる。マーカー遺伝子の選定には、ゲノム解析の結果や、抗生物質耐性試験の結果を参考にする。また形質転換法としては、塩化カルシウム法やエレクトロポレーション法を試すと共に、広域宿主ベクターの利用などを予定している。 またこれまでに南極サンプルから、様々な新分類群を代表すると考えられる微生物が得られている。H23年度に引き続き、様々な南極由来微生物の生理学的解析と、その進化的位置づけを明らかにする。特に262-7株及び107-E2株に関しては発表に必要な解析は終了しているので、早急に学術論文をまとめ、新属または新種微生物として発表したい。また107‐E2株の生産する黒色色素に関しては、さらに解析を進め、その正体を明らかにしたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

上述の通り、次年度は主に触手状突起の解析、および様々な南極由来微生物の新分類群提案を目指した解析を行っていく。この基盤になるゲノム解析の大半は既にH23年度で終了しているため、平成24年度の主な実験手法としては微生物の培養による生育特性解析や、その微生物由来タンパク質など菌体構成成分の解析等になり、新たな実験機器の購入の必要があるような研究内容はない。実験機器はこれまで使用していたものをそのまま使用可能であるため、研究費の使用用途は微生物用培地・実験試薬・遺伝子解析用試薬等、消耗品の購入が主となる。また研究発表のために、国内学会(日本農芸化学会2013年度大会/2013年3月開催予定、開催地仙台)参加も予定しており、この旅費としても使用予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Critical behavior of megabase-size DNA toward the transition into a compact state.2011

    • Author(s)
      Yosikawa, Y., Suzuki, Y., Yamada, K., Fukuda, W., Yoshikawa, K., Takeyasu, K. and Imanaka, T.
    • Journal Title

      Journal of Chemical Physics

      Volume: 135/22 Pages: 225101/1-7

    • DOI

      10.1063/1.3666845

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Rhodoligotrophos appendicifer gen. nov., sp. nov., a bacterium with projections isolated from a lake in Skarvsnes, Antarctica.2011

    • Author(s)
      Fukuda W., Yamada, K., Miyoshi, Y., Atomi, H. and Imanaka, T
    • Journal Title

      International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology

      Volume: - Pages: -

    • DOI

      10.1099/ijs.0.032953-0

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 突起を持った南極由来の新属新種細菌Rhodoligotrophos appendicifer2012

    • Author(s)
      Wakao Fukuda, Kozo Yamada, Yuki Miyoshi, Hirokazu Okuno, Haruyuki Atomi, Tadayuki Imanaka
    • Organizer
      日本農芸化学会2012年度大会
    • Place of Presentation
      京都女子大学(京都府)
    • Year and Date
      2012年03月24日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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