2013 Fiscal Year Annual Research Report
tRNA擬態複合体分子による普遍遺伝暗号解読機構の解明
Project/Area Number |
23657071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 耕一 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (10262073)
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Keywords | タンパクs質合成 / tRNA分子擬態 / 遺伝暗号 / mRNA品質管理 / Gタンパク質 / リボソーム / 翻訳終結 |
Research Abstract |
昨年度、諸事情により補助事業の期間延長を申請し、25年度に、変異体の総合的な解析作業と成果公表を計画した。 【1】tRNA擬態複合体のtRNA対応領域への変異体導入による機能性検証:古細菌由来因子で明らかにしたtRNA擬態複合体構造を基に、対応する真核生物因子で分離・作成した変異体を解析し、既知の複合体形成領域に加え、リボソーム上でのコドン認識、GTPase発現に関わる機能領域を新たに特定することができた。具体的には、tRNA擬態分子であるeRF1のtRNAのASL領域に相当するアンチコドン機能部位の近傍に存在する機能領域、および、eRF1の複合体形成に関わる二つの構造ドメインを連結するヒンジ領域である。前者は、これまでバクテリア解離因子において報告してきたリボソームRNAの重要機能領域に相互作用する部位に対応することが期待される。 【2】EF1α上 の共通結合インターフェースの分子解明:既知の結合インターフェースへの変異導入等を行い活性測定による総合評価に進めた。その結果、興味深いことに、これまで複合体の結合強度と翻訳終結活性の相関性が必ずしも正しくないことが、変異体の翻訳終結活性測定と酵母2ハイブリッド法による結合強度測定の比較により明らかとなった。このことは、翻訳伸長でみられているような、リボソーム結合前の翻訳GTPaseとtRNAの強固な結合を前提とせず、tRNA擬態分子とGTPaseが部分的な相互作用の状態、もしくは分離した状態でリボソームに結合し、その後のコドン認識とGTPase活性発現の際に、より密接な機能協調によりGTPase発現を行う興味深い可能性を示唆するものである。
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Research Products
(5 results)