2012 Fiscal Year Annual Research Report
ポリユビキチン鎖の連結特異的な検出法の構築と病理組織への応用
Project/Area Number |
23657075
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
徳永 文稔 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (00212069)
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Keywords | シグナル伝達 / 細胞・組織 / 酵素 / タンパク質 |
Research Abstract |
ユビキチンは標的タンパク質に多様な様式で結合することでタンパク質分解、シグナル伝達、DNA修復、メンブレントラフィックなど多彩な細胞機能を発揮する。我々は、ユビキチンのN末端Metを介する新規「直鎖状ポリユビキチン鎖」を生成するユビキチンリガーゼ(LUBAC)を同定し、LUBACが炎症応答や免疫制御に重要なNF-κBシグナル経路を制御することを同定した。しかし、直鎖状ユビキチンに対する抗体を作製したものの検出感度は高くなく、細胞レベルの直鎖状ユビキチン検出に用いることは難しかった。そこで本研究で我々は、細胞内で直鎖状ユビキチン生成を特異的に検出、測定する系の構築を目指した。 まず我々は、脱ユビキチン化酵素のA20がC末端7番目のジンクフィンガー(ZF)領域で直鎖状ユビキチンに特異的に結合することでNF-κB活性化を阻害することを同定した。A20 ZF7と直鎖状ユビキチンの共結晶構造解析を行ったところ、ZF7はKd = 9 μMという高親和性に直鎖状ユビキチンに結合するが、単量体のユビキチンや、Lys残基で連結したポリユビキチン鎖には結合しないことを明らかにした。さらに、A20 ZF7を3分子タンデムに連結したタンパク質は、より多くの直鎖状ポリユビキチン鎖に結合可能であり、これを細胞内に発現するとNF-κB経路は抑制されるが、MAPキナーゼ活性化へは影響しないことが分かった。同様に、NEMOの直鎖状ユビキチン認識ドメイン(UBANドメイン)を用いたタンデム結合体も単量体UBANに比べて、より強い直鎖状ユビキチンのセンサータンパク質として利用可能であった。これらの結果から、我々はA20 ZF7やUBANのタンデム連結タンパク質が新たな直鎖状ユビキチン識別分子プローブとして応用可能であることを示した。
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