2013 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の分子動力学計算のための高次構造に依存する新規力場関数の開発と検証
Project/Area Number |
23657103
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 春木 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (80134485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷹野 優 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (30403017)
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Keywords | 蛋白質 / 生物物理 / 分子シミュレーション / 構造エネルギー / 構造予測 |
Research Abstract |
研究目的:本挑戦的萌芽研究では、高精度の古典力学分子シミュレーションのため、蛋白質高次構造に依存する全く新規な力場関数を開発することである。主鎖の水素結合エネルギーが高次構造に依存していると考えられるが現在の力場では考慮されていないため、高次構造に依存するような軌道相互作用を取り込む。 研究成果:特に水素結合に関して、代表的な二次構造であるαヘリックスと平行βシート、反平行βシートの形成に関わる相互作用を、ポリアラニンからなるモデルペプチドを用いて、高い精度の密度汎関数法 (B97D/6-31+G(d))を用いて調べ、コントロールとして現在生体分子に対して良く利用されている分子力学法 (AMBERff99SB)を使い、全く同一の分子構造に対するエネルギーを比較した。ペプチドの長さを変えながらαヘリックス型ペプチドモデルと平行、反平行βシート型ペプチドモデルの相互作用エネルギーを調べたところ、分子力学法も密度汎関数法も水素結合一つあたりの相互作用エネルギーは、平行、反平行βシート型ペプチドモデルの方がαヘリックス型ペプチドモデルより大きくなり、強い水素結合が形成された。また平行、反平行βシート型ペプチドモデルに関しては、AMBERff99SBを用いた分子力学法は過大評価するもののそのずれは小さいものであった。しかしαヘリックス型ペプチドモデルに関しては、分子力学法は密度汎関数法の結果に比べて大きく過大評価をしており、水素結合の数が増えるにつれて、ずれが大きくなっていくことが明らかとなった。このことは、分子力場の改良に関しては、αヘリックス形成に関わる水素結合の記述を改善する必要性を強く示唆した。同じ水素結合でも高次構造とその長さにより異なるエネルギーとなることが明らかとなったわけで、今後、この成果を基に、得られたエネルギーにフィットさせる力場パラメータを決定する。
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