2013 Fiscal Year Annual Research Report
第二高調波イメージングの応用による神経生理機能解析
Project/Area Number |
23657106
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
塗谷 睦生 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60453544)
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Keywords | 光第二高調波発生 / 2光子顕微鏡 / SHG / イメージング / アストロサイト |
Research Abstract |
光第二高調波(Second Harmonic Generation: SHG)イメージングは、その特殊な発生条件からこれまでの手法では不可能であった生理現象の可視化の可能性を秘めている。特に、これまで他の手法においては計測が困難であった細胞細部における膜電位情報の定量的な可視化への応用が期待されている。しかし、これまで行われてきた既存の色素を用いたSHGイメージングではSHG計測の精度が低く、それが生理学的解析への応用を制限してきた。そこで本研究ではこの現状を打開しSHGイメージングの飛躍的な向上を図るため、SHGに適した新たな色素の開発を進めると共に、近年その生理・疾患条件下における脳機能への重要性が着目されSHGの新たな応用対象として期待されたアストロサイトの生理機能の解析を行った。 本研究の遂行により、SHGイメージングにおいてはデメリットとなる2光子励起蛍光を最小限に抑えたままSHGシグナルを発する新たなSHG専用色素の開発に成功した。更に、2光子顕微鏡を用いたアストロサイトの生理学的解析により、アストロサイトの足突起と呼ばれる血管周囲を取り巻く構造が細胞内外の分子の拡散を制限する非常に重要な役割を果たす事や、アストロサイトが虚血時の脳組織の保護に重要な働きをする事などが明らかとなった。これらはアストロサイトの生理学的重要性と、その機能発現時における細胞細部、特に足突起の重要性を示すものとなり、足突起を含むアストロサイトの細部の生理機能解析がSHGイメージングの重要な対象となる事を示すものとなった。今後の更なるSHG専用色素の開発とアストロサイトへの応用により、解析技術としてのSHGイメージングの更なる発展と、アストロサイトの機能発現の細胞生物学的機構の解明が促進されるものと期待される。
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