2012 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物ミスマッチ修復がクロマチン上で機能するための分子機構の解明
Project/Area Number |
23657114
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 達郎 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50452420)
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Keywords | ミスマッチ修復 / 突然変異 / DNA複製 / DNA修復 / クロマチン / ツメガエル卵抽出液 |
Research Abstract |
ミスマッチ修復はDNA合成の誤りを修復する機構であり、突然変異、発がんの抑制に重要な役割を果たす。これまでの研究から、ミスマッチ修復がDNA上で機能する機構については理解が進みつつある。一方で、ミスマッチ修復が機能するDNA合成直後にはクロマチン再形成も起こる。ところが生理的なクロマチン形成を試験管内で再現する実験系は少なく、ミスマッチ修復機構がクロマチン上で機能するためにどのような反応が必要であるのかはよくわかっていない。我々はクロマチン形成とミスマッチ修復を試験管内で効率よく再現するツメガエル卵抽出液(NPE)をモデル系に用い、クロマチン上でミスマッチ修復が機能するために必要な因子と反応の解明を目指して研究を行った。 先年までの研究から、我々は、NPE中ではミスマッチ塩基周辺のクロマチン形成がMutSに依存して強く抑制されること、さらにこのときミスマッチに依存したヌクレオソームの除去反応が起きていることを発見していた。本年度は、この阻害反応の分子機構を明らかにするために、ミスマッチ塩基を含むDNAに特異的に結合する因子をNPEから回収し、質量分析計を用いて網羅的に同定した。同定した因子にはヒストンシャペロンとして機能する因子や、ミスマッチ修復以外のDNA修復に機能する因子、クロマチン形成関連因子、損小チェックポイント因子などが含まれていた。これらのうちヒストンシャペロンであることが示唆されている因子にまず注目して解析を進めたところ、一部の因子に関しては、ミスマッチを含むDNAにMutSに依存してリクルートされること、及びミスマッチ塩基周辺のヌクレオソームの除去反応に関与することを示す結果を得た。これらの結果は、MutSがミスマッチを識別すると、MutSがヒストンシャペロン因子をミスマッチ部位周辺に呼び込むことによりヌクレオソームの除去を促進する可能性を示唆する。
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Research Products
(2 results)